2013/02/01 20:46:31
及影の小話です。
及川モデルX影山大学生+岩泉です。
岩泉は、及川さんのマネージャーさんです。
今回は、出会い編。
↓
「岩ちゃん、この子と対談してみたい」
及川が、空き時間の潰しに読んでいたバレーマガジンに特集を組まれていたのは
天才セッターと名高い影山飛雄――大学生らしい。
また変なことを言い出したと岩泉が睨んでも、及川はどこ吹く風だ。
「確か、次週に対談するって仕事あったよね」
「・・・あったけど、相手は決まってるだろ?」
珍しく仕事の予定を覚えていたと思ったら、これだ。
一応、抵抗すべく岩泉は予定を口にする。
しかし、及川は詰まらないとばかりに眉を潜める。
「あんなタレントなんだか女優なんだか、曖昧な子は興味ない」
及川は、才能がある者が好きで、何かに秀でている者を見つけるのが巧い。
臭覚が優れているのかもしれない。
そして、その彼のお眼鏡に叶った男は、ユニフォームを着たスポーツマン。
(また変な構い方をしなきゃ、良いけどな)
何かに執着することは少ないが、一度気に入ると絶対に手放さずに傍に置きたがる。
それで言えば、自分もそうかもしれない。
二人が出会ったのは、大学の頃だった。
『岩ちゃん、俺モデルをするよ』
在学中、そんな宣言と共に及川はモデルになった。
街を歩いていたらスカウトされたらしく、それにアッサリ乗るのも彼らしいと思った。
大学は休みがちになったが、退学することはなかった。そして、今度は
『俺のマネージャーになってよ、岩ちゃん』
岩泉が就活に明け暮れる四年の夏、モデルを本業とするらしい(噂で流れてきた)及川は
海外を飛び回るほど有名になり、多忙を極めていた。
キャンパスで顔を合わせる機会も少なくなっていた時だった。
『はぁ?何言ってんだよ』
『まだ就職、決まってないんデショ?』
『・・・・・・まぁな』
『なら、良いじゃない』
そんな誘いと共に岩泉は、全く無関係だと思っていた世界に飛び込んだ。
華やいだ世界は、競争も激しく妬みも多い。
飄々と業界を渡り歩いている及川だが、岩泉から見れば、誰も信用してないように思えた。
(だから、俺なのか?)
そう思いつつも、流石にそれは恥ずかしくて、及川に尋ねることはなかった。
彼が、自分を選んで誘った。それで十分だと思ったから。
及川もいい加減に見えて、仕事はキッチリするので、楽は楽だった。
「・・・我儘じゃなきゃーな」
過去を思い出し岩泉がポツリと呟けば、及川は「何かな?岩ちゃん」とニヤニヤ笑った。
どうせ自分が、拒絶しないと分かっているのだろう。
相変わらずそうゆう所は、嫌なヤツだ。
「なんでもねぇよ」
あの女優に、断りを入れなきゃな。
及川を気に入った先方が、是非に!と乗り気だったがしょうがない。
また社長に泣かれるかな・・・と岩泉は、溜息を付いた。
●●●恋愛ウイルス浸透中●●●
「対談?」
監督に言われ、飛雄は首を傾げる。
どうやら大学の広報から依頼が来たらしい。
いつものバレーマガジンじゃなくて(そちらなら、広報を通さない)ファッション雑誌らしい。
「及川徹?知らなねぇ」
「え!知らないの?!影山」
意外とミーナーは日向は、俺は知ってる!とばかりにハイハイと挙手をしている。
片手には、背が伸びるようにとお馴染みの牛乳を手にしている。
大学生になれば、成長もある程度は止まるはずだが、日向は、まだ諦めてないらしい。
「俺が、そのモデルの人と対談・・・」
何を喋れば、いいんだ?
如何せんバレー一筋な飛雄は、未知の世界だ。
何とかなるだと安易なチームメイトのアドバイスに、渋々頷いた。
*
(随分、暗いな)
及川がまだ撮影中なので、飛雄はスタジオの隅で待っていた。
名前だけしか知らなかった彼をようやく間近で見ることができた。
日向に彼のプロフィールを簡単に教えてもらったが、結局、彼が掲載されてる雑誌は買わなかった。
(この人が・・・)
圧倒的な存在感、力強い眸、飛雄は惹き込まれるように彼を見つめた。
男を綺麗だと思ったことはないが(周りは、ムサイスポーツマンばかりだし)
彼は思わず見惚れてしまった。
――パチっ
(あ・・・)
及川と眸が出会って、ニコッと笑われる。
なかなか人懐っこい笑みだ。
カメラに向かっている時は、人を寄せ付けない感じだったが、実際は違うみたいだ。
「休憩ーーー!」
暫くするとひと休みになり、スタジオはザワザワと騒がしくなる。
付き合わせて悪いなと傍に来た男が、ペットの茶を差し出してくれた。
控室で対談するからと、彼が案内をしてくれた。
「キミが、トビオちゃんか~」
及川はモデルだけあって背が高く、飛雄よりも若干高かった。
しかし、初対面な相手に『ちゃん』付けはどうだろう。
馴れ馴れしいにもほどがある。
「及川!失礼だぞ」
「良いじゃん、岩ちゃん」
マネージャだという岩泉が、済まないと及川の代わりに謝ってくれた。
どうやら彼は、苦労人らしい。
モデルなんてみんな及川みたいかと思ったら、真面な人もいるらしい。
「キミのことは、バレーマガジンで見たんだ」
「・・・どうも」
「すごい天才みたいだね~」
「はぁ」
パイプ椅子にお互い腰を下ろしたが、及川に肩を抱かれてニコリと笑われる。
距離が近いし、なんで引っ付かれるんだろう。意味が解らない。
飛雄はどう反応すべきか、困る。
(よく分からない人だな)
「今度、試合を見に行っても良い?」
「はぁ・・・」
対談どころじゃなくて、これじゃナンパじゃないか。
飛雄が戸惑っていれば、岩泉が気が早いだろうと突っ込んでくる。
その後は、ファッションやバレーについて語り対談らしくなりお開きになった。
「じゃ、失礼します」
飛雄は席を立ち、丁寧にお辞儀をして立ち去ろうとすれば引き留められる。
及川が、ねぇとジッと見下ろしていた。
笑みを浮かべてない彼は、どこか男らしくて見つめ返してしまった。
「・・・?」
「今度は、仕事抜きで逢おうよ」
「え?」
「もっと飛雄のことを知りたいから」
呼び捨て・・・
そう突っ込む前に、及川の真剣な顔が吐息が掛かるぐらい近くにあった。
呆然とすれば、ちゅっとキスをされる。
「んっ・・・つぅ」
いきなりキスをされ、下唇をカジッと咬まれる。
結構な痛さで、キスに驚くよりも痛みで及川の胸を押しやった。
キッと睨みつけて、思わず怒鳴ってしまった。
「何するんですか!!」
「約束のキス」
その傷が治る前に、デートしょうね。
ニッコリと及川が笑った。
そして、気が付けばお互いの連絡先を交換する羽目になった。
<余談>
「何やってるんだ!及川ーーー!」
一部始終を見ていた岩泉が、力いっぱい及川の頭を叩いた。
そして、真っ青な顔をして飛雄に頭を下げる。
「岩ちゃん!何するの!」
「それは、こっちのセリフだ!何やってるんだ!お前!!」
「殴る?普通?!」
「顔を殴らなかっただけ、マシと思え!」
喧々とやり合う二人に飛雄は、変な人たちと部外者の様に眺めていた。
画像は、素材サイト様から拝借 http://sweety.chips.jp/index.html
及川モデルX影山大学生+岩泉です。
岩泉は、及川さんのマネージャーさんです。
今回は、出会い編。
↓
「岩ちゃん、この子と対談してみたい」
及川が、空き時間の潰しに読んでいたバレーマガジンに特集を組まれていたのは
天才セッターと名高い影山飛雄――大学生らしい。
また変なことを言い出したと岩泉が睨んでも、及川はどこ吹く風だ。
「確か、次週に対談するって仕事あったよね」
「・・・あったけど、相手は決まってるだろ?」
珍しく仕事の予定を覚えていたと思ったら、これだ。
一応、抵抗すべく岩泉は予定を口にする。
しかし、及川は詰まらないとばかりに眉を潜める。
「あんなタレントなんだか女優なんだか、曖昧な子は興味ない」
及川は、才能がある者が好きで、何かに秀でている者を見つけるのが巧い。
臭覚が優れているのかもしれない。
そして、その彼のお眼鏡に叶った男は、ユニフォームを着たスポーツマン。
(また変な構い方をしなきゃ、良いけどな)
何かに執着することは少ないが、一度気に入ると絶対に手放さずに傍に置きたがる。
それで言えば、自分もそうかもしれない。
二人が出会ったのは、大学の頃だった。
『岩ちゃん、俺モデルをするよ』
在学中、そんな宣言と共に及川はモデルになった。
街を歩いていたらスカウトされたらしく、それにアッサリ乗るのも彼らしいと思った。
大学は休みがちになったが、退学することはなかった。そして、今度は
『俺のマネージャーになってよ、岩ちゃん』
岩泉が就活に明け暮れる四年の夏、モデルを本業とするらしい(噂で流れてきた)及川は
海外を飛び回るほど有名になり、多忙を極めていた。
キャンパスで顔を合わせる機会も少なくなっていた時だった。
『はぁ?何言ってんだよ』
『まだ就職、決まってないんデショ?』
『・・・・・・まぁな』
『なら、良いじゃない』
そんな誘いと共に岩泉は、全く無関係だと思っていた世界に飛び込んだ。
華やいだ世界は、競争も激しく妬みも多い。
飄々と業界を渡り歩いている及川だが、岩泉から見れば、誰も信用してないように思えた。
(だから、俺なのか?)
そう思いつつも、流石にそれは恥ずかしくて、及川に尋ねることはなかった。
彼が、自分を選んで誘った。それで十分だと思ったから。
及川もいい加減に見えて、仕事はキッチリするので、楽は楽だった。
「・・・我儘じゃなきゃーな」
過去を思い出し岩泉がポツリと呟けば、及川は「何かな?岩ちゃん」とニヤニヤ笑った。
どうせ自分が、拒絶しないと分かっているのだろう。
相変わらずそうゆう所は、嫌なヤツだ。
「なんでもねぇよ」
あの女優に、断りを入れなきゃな。
及川を気に入った先方が、是非に!と乗り気だったがしょうがない。
また社長に泣かれるかな・・・と岩泉は、溜息を付いた。
●●●恋愛ウイルス浸透中●●●
「対談?」
監督に言われ、飛雄は首を傾げる。
どうやら大学の広報から依頼が来たらしい。
いつものバレーマガジンじゃなくて(そちらなら、広報を通さない)ファッション雑誌らしい。
「及川徹?知らなねぇ」
「え!知らないの?!影山」
意外とミーナーは日向は、俺は知ってる!とばかりにハイハイと挙手をしている。
片手には、背が伸びるようにとお馴染みの牛乳を手にしている。
大学生になれば、成長もある程度は止まるはずだが、日向は、まだ諦めてないらしい。
「俺が、そのモデルの人と対談・・・」
何を喋れば、いいんだ?
如何せんバレー一筋な飛雄は、未知の世界だ。
何とかなるだと安易なチームメイトのアドバイスに、渋々頷いた。
*
(随分、暗いな)
及川がまだ撮影中なので、飛雄はスタジオの隅で待っていた。
名前だけしか知らなかった彼をようやく間近で見ることができた。
日向に彼のプロフィールを簡単に教えてもらったが、結局、彼が掲載されてる雑誌は買わなかった。
(この人が・・・)
圧倒的な存在感、力強い眸、飛雄は惹き込まれるように彼を見つめた。
男を綺麗だと思ったことはないが(周りは、ムサイスポーツマンばかりだし)
彼は思わず見惚れてしまった。
――パチっ
(あ・・・)
及川と眸が出会って、ニコッと笑われる。
なかなか人懐っこい笑みだ。
カメラに向かっている時は、人を寄せ付けない感じだったが、実際は違うみたいだ。
「休憩ーーー!」
暫くするとひと休みになり、スタジオはザワザワと騒がしくなる。
付き合わせて悪いなと傍に来た男が、ペットの茶を差し出してくれた。
控室で対談するからと、彼が案内をしてくれた。
「キミが、トビオちゃんか~」
及川はモデルだけあって背が高く、飛雄よりも若干高かった。
しかし、初対面な相手に『ちゃん』付けはどうだろう。
馴れ馴れしいにもほどがある。
「及川!失礼だぞ」
「良いじゃん、岩ちゃん」
マネージャだという岩泉が、済まないと及川の代わりに謝ってくれた。
どうやら彼は、苦労人らしい。
モデルなんてみんな及川みたいかと思ったら、真面な人もいるらしい。
「キミのことは、バレーマガジンで見たんだ」
「・・・どうも」
「すごい天才みたいだね~」
「はぁ」
パイプ椅子にお互い腰を下ろしたが、及川に肩を抱かれてニコリと笑われる。
距離が近いし、なんで引っ付かれるんだろう。意味が解らない。
飛雄はどう反応すべきか、困る。
(よく分からない人だな)
「今度、試合を見に行っても良い?」
「はぁ・・・」
対談どころじゃなくて、これじゃナンパじゃないか。
飛雄が戸惑っていれば、岩泉が気が早いだろうと突っ込んでくる。
その後は、ファッションやバレーについて語り対談らしくなりお開きになった。
「じゃ、失礼します」
飛雄は席を立ち、丁寧にお辞儀をして立ち去ろうとすれば引き留められる。
及川が、ねぇとジッと見下ろしていた。
笑みを浮かべてない彼は、どこか男らしくて見つめ返してしまった。
「・・・?」
「今度は、仕事抜きで逢おうよ」
「え?」
「もっと飛雄のことを知りたいから」
呼び捨て・・・
そう突っ込む前に、及川の真剣な顔が吐息が掛かるぐらい近くにあった。
呆然とすれば、ちゅっとキスをされる。
「んっ・・・つぅ」
いきなりキスをされ、下唇をカジッと咬まれる。
結構な痛さで、キスに驚くよりも痛みで及川の胸を押しやった。
キッと睨みつけて、思わず怒鳴ってしまった。
「何するんですか!!」
「約束のキス」
その傷が治る前に、デートしょうね。
ニッコリと及川が笑った。
そして、気が付けばお互いの連絡先を交換する羽目になった。
<余談>
「何やってるんだ!及川ーーー!」
一部始終を見ていた岩泉が、力いっぱい及川の頭を叩いた。
そして、真っ青な顔をして飛雄に頭を下げる。
「岩ちゃん!何するの!」
「それは、こっちのセリフだ!何やってるんだ!お前!!」
「殴る?普通?!」
「顔を殴らなかっただけ、マシと思え!」
喧々とやり合う二人に飛雄は、変な人たちと部外者の様に眺めていた。
画像は、素材サイト様から拝借 http://sweety.chips.jp/index.html
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