2012/10/19 22:14:31
及影の小話です。
及影←日向の三つ巴です。
日影のキスシーンあり。
ちょっと、無理やりキスしてます。
前回の続きです。
ブログのカテゴリー「及影」で、まとめて読むことができます。
↓
及影←日向の三つ巴です。
日影のキスシーンあり。
ちょっと、無理やりキスしてます。
前回の続きです。
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『日向・・・?!』
携帯の向こうから聴こえた飛雄の焦る声と、耳障りガッシャンと何かが落ちる音。
その後、携帯は、ツーツーツーと無音になってしまった。
チッと及川は、盛大に舌打ちをする。
(あの小さい子だろうか)
及川を相手に、ライバル宣言したムカつくガキ。
やっと飛雄が及川の気持ちを信じてくれて、恋人同士になれたのに邪魔をしてくる少年だ。
絶対に渡す気はないけれど、目障りなのは変わらない。
「お、おい!及川?どこに行くんだよ」
気が付けば、階段を駆け足で降りて、下駄箱まで来ていた。
昼休みのグランドで、サッカーをしていた岩田に驚いたように呼ばれる。
及川の焦る気持ちを察してない彼は、もう昼休みも終わるぞと暢気に笑っていた。
「・・・・・・岩ちゃん、何してたの?」
「サッカーだよ、サッカー」
「そんなのしてたら、午後は眠くなっちゃうよ?」
「うっ、うっせーよ」
思わぬチームメイトの登場で、及川の気持ちが幾分冷えてきた。
そうだ。今、烏野に向かっても、あっちだって授業が始まってしまう。
及川って、午後から小テストがあったはずだ。
(同じ高校じゃないと、こうゆう時は不便だな)
普段は、ライバル校の飛雄を倒す気満々で、叩き潰したくてウズウズしているのに。
近いようで遠い距離が、もどかしい。
及川は、岩田の小言にハイハイとお座なりに返事をして、飛雄の携帯に掛け直す。
『お掛けになった電話は・・・』
電源が、切られている。
故意に切ったのか。それとも、偶然か。
どちらにしても、休み時時間は終わってしまう。
(せっかく飛雄の声が、聴けたのに・・・)
年下の恋人と電話をする機会は、多いようで少ない。
学校は別でも、元は学区内が同じだったので、家は近所だ。
だから、逢いたいと思えば、電話よりも逢った方が早かったし、逢いたかった。
『たまには、飛雄からも電話してよー』
『で、電話?!』
そう強請ったのは、自分だった。
つれない恋人は、及川がバレー部の主将だったり、受験生なのを理由に
変に遠慮して、飛雄から行動することが少なかった。
(それでも、トビオちゃんは俺にラブラブだけどね!!)
飛雄が聴けば、顔を真っ赤にして怒りそうなことを思いつつ、及川は電話してよと強請った。
そして、わざと学校がある平日の日中を要求したのも、自分だった。。
飛雄の日常に、わざと自分を食い込ませたかったのだ。
『でも、そんな昼休みになんて・・・』
『もちろん毎日しろなんて言わないよ。たま~にで良いんだよ』
『わ、分かりました』
有無を言わさない及川の希望に、飛雄は首を傾げつつ頷いてくれた。
大方、また突拍子もないことを言い出したと呆れているのだろう。
けれど、それでも良い。飛雄が及川に電話をしてくれれば、なんでも、
(俺も、結構必死なんだよ?トビオちゃん)
飛雄はきっと、及川にいつも振り回されているのは自分だと悔しがっているだろう。
しかし、実際はどうだろう。
及川だって、飛雄の見えない部分、気付かれてない所で、足掻いているのだ。
「そうじゃなくても、ライバルが多いんだからさ」
ぼそりと不満げに呟く。
及川がモテモテで、浮気性だと勘違いしている飛雄に悪いが、飛雄の方がタチが悪い。
キャーキャーアイドル扱いで騒がれてるのとは違って、あの子は本気の輩が多いのだから。
「及川?ライバルってないんだよ?」
「べっつにー。何でもないよ、岩ちゃん」
「ほら、急ぐぞ」
もうチャイムが鳴ったんだからな。
岩田に急かされ、及川は教室に戻った。
早く放課後になれば良いと願いながら、席に座った。
●●●● あきらめない心 2 ●●●●
「渡さなさい・・・」
及川と携帯で電話をしていたら、日向が現れた。
夢中で彼と話してしまったらしい、彼の気配に全く気付かなかった。
飛雄は、思わず驚いて携帯を落してしまって、ガッシャン!と嫌な音が響いた。
「おい、日向?!」
「俺だって、お前が欲しいんだ・・・」
携帯を拾った腕を掴まれて、強引に唇を奪われる。
日向の唇は、及川のそれとは違って、少しカサカサしていた。
条件反射に肩を押し退けても、日向は思った以上に力が強く、離れた唇が再び重なる。
(及川さん・・・!)
別に、彼に操を立てるつもりはない。
それでも、俺たちやっと恋人になれたねと笑う彼を傷つけたくなかった。
そして、彼以外とキスしたくなかった。
「離せっ・・・」
「好きなんだよ。後から俺が好きになっても、関係ない!」
「・・・日向」
見っともなくジタバタと暴れる飛雄をベンチに抑え付けて、小柄な日向が馬乗りになる。
ギュウギュウ抱き締められて、必死にしがみ付かれる。
唇を奪われて、口内の舌を荒らされて、舌を絡め取られる。
(なんで、俺なんだよ!)
飛雄は、さっぱり理解できなかった。
別に好かれるようなことはしてない、バレー以外で日向とは接点もなかった。
なぜ、自分はそこまで固執されるのだろうか。
疑問だけが飛雄の頭を駆け巡り、こんな行動を起こすチームメイトにも嫌悪しか抱けない。
「俺だって、好きなんだよ!」
もみ合っている隙に飛雄は、ベンチに押し倒されて、小柄な彼が覆い被さってくる。
真っすぐ射抜く日向の眸が、まるでスパイクを決める瞬間のように、ギラギラしている。
その眸に、魅入ってしまう。だって、まるでバレーを追いかけるような眸だったから。
「痛・・・」
「影山、影山・・・」
また、キスされる。
イヤダ、イヤダ・・・。
日向の手が、飛雄のシャツの中に入り込み、胸を触われる。
(ふざけんな・・・)
これ以上、好き勝手は許さない。
飛雄は、日向の鳩尾に膝蹴りをして、バランスを崩す彼から抜け出した。
手加減なしの力は、日向にそうとうなダメージを与えたようだ。
「痛・・・つう・・・」
「ふざけんな!こんなのするな!!!」
「影山~~」
はぁはぁと肩で息をした飛雄は、睨み付けてバシッと日向の頭を叩く。
先ほどの飛雄を抑え付けていた鋭い眼差しの日向はいなかった。
地面に胡坐をかいた彼は、ひでーとブツブツ呟いている。
(どっちがだよ!)
しかし、ヌメッとした嫌な空気が消え去り、いつもの日向に戻っている気がする。
それだけが、飛雄をホッとさせた。
時計を観れば、もう授業が始まっている。教室に、戻らなければならない。
少し砂埃を被った携帯を掴み、ポケットにしまう。
(もう及川さんに、電話できないな)
あちらも、授業中だろう。
切れてしまった電源を入れて、マナーモードにする。
背後では、パンパンと埃を叩く日向がいるが、飛雄の意識は傍にいない及川に向かっていた。
「俺、行くからな」
「待ってよ!俺も・・・」
「誰が、一緒に行くか」
「む・・・」
当分、話しかけて来るな。
そう呟いて、飛雄は足早に立ち去った。
及川さん、及川さん・・・何度も何度も、彼の名前をつぶやいた。
次回に続きます。
携帯の向こうから聴こえた飛雄の焦る声と、耳障りガッシャンと何かが落ちる音。
その後、携帯は、ツーツーツーと無音になってしまった。
チッと及川は、盛大に舌打ちをする。
(あの小さい子だろうか)
及川を相手に、ライバル宣言したムカつくガキ。
やっと飛雄が及川の気持ちを信じてくれて、恋人同士になれたのに邪魔をしてくる少年だ。
絶対に渡す気はないけれど、目障りなのは変わらない。
「お、おい!及川?どこに行くんだよ」
気が付けば、階段を駆け足で降りて、下駄箱まで来ていた。
昼休みのグランドで、サッカーをしていた岩田に驚いたように呼ばれる。
及川の焦る気持ちを察してない彼は、もう昼休みも終わるぞと暢気に笑っていた。
「・・・・・・岩ちゃん、何してたの?」
「サッカーだよ、サッカー」
「そんなのしてたら、午後は眠くなっちゃうよ?」
「うっ、うっせーよ」
思わぬチームメイトの登場で、及川の気持ちが幾分冷えてきた。
そうだ。今、烏野に向かっても、あっちだって授業が始まってしまう。
及川って、午後から小テストがあったはずだ。
(同じ高校じゃないと、こうゆう時は不便だな)
普段は、ライバル校の飛雄を倒す気満々で、叩き潰したくてウズウズしているのに。
近いようで遠い距離が、もどかしい。
及川は、岩田の小言にハイハイとお座なりに返事をして、飛雄の携帯に掛け直す。
『お掛けになった電話は・・・』
電源が、切られている。
故意に切ったのか。それとも、偶然か。
どちらにしても、休み時時間は終わってしまう。
(せっかく飛雄の声が、聴けたのに・・・)
年下の恋人と電話をする機会は、多いようで少ない。
学校は別でも、元は学区内が同じだったので、家は近所だ。
だから、逢いたいと思えば、電話よりも逢った方が早かったし、逢いたかった。
『たまには、飛雄からも電話してよー』
『で、電話?!』
そう強請ったのは、自分だった。
つれない恋人は、及川がバレー部の主将だったり、受験生なのを理由に
変に遠慮して、飛雄から行動することが少なかった。
(それでも、トビオちゃんは俺にラブラブだけどね!!)
飛雄が聴けば、顔を真っ赤にして怒りそうなことを思いつつ、及川は電話してよと強請った。
そして、わざと学校がある平日の日中を要求したのも、自分だった。。
飛雄の日常に、わざと自分を食い込ませたかったのだ。
『でも、そんな昼休みになんて・・・』
『もちろん毎日しろなんて言わないよ。たま~にで良いんだよ』
『わ、分かりました』
有無を言わさない及川の希望に、飛雄は首を傾げつつ頷いてくれた。
大方、また突拍子もないことを言い出したと呆れているのだろう。
けれど、それでも良い。飛雄が及川に電話をしてくれれば、なんでも、
(俺も、結構必死なんだよ?トビオちゃん)
飛雄はきっと、及川にいつも振り回されているのは自分だと悔しがっているだろう。
しかし、実際はどうだろう。
及川だって、飛雄の見えない部分、気付かれてない所で、足掻いているのだ。
「そうじゃなくても、ライバルが多いんだからさ」
ぼそりと不満げに呟く。
及川がモテモテで、浮気性だと勘違いしている飛雄に悪いが、飛雄の方がタチが悪い。
キャーキャーアイドル扱いで騒がれてるのとは違って、あの子は本気の輩が多いのだから。
「及川?ライバルってないんだよ?」
「べっつにー。何でもないよ、岩ちゃん」
「ほら、急ぐぞ」
もうチャイムが鳴ったんだからな。
岩田に急かされ、及川は教室に戻った。
早く放課後になれば良いと願いながら、席に座った。
●●●● あきらめない心 2 ●●●●
「渡さなさい・・・」
及川と携帯で電話をしていたら、日向が現れた。
夢中で彼と話してしまったらしい、彼の気配に全く気付かなかった。
飛雄は、思わず驚いて携帯を落してしまって、ガッシャン!と嫌な音が響いた。
「おい、日向?!」
「俺だって、お前が欲しいんだ・・・」
携帯を拾った腕を掴まれて、強引に唇を奪われる。
日向の唇は、及川のそれとは違って、少しカサカサしていた。
条件反射に肩を押し退けても、日向は思った以上に力が強く、離れた唇が再び重なる。
(及川さん・・・!)
別に、彼に操を立てるつもりはない。
それでも、俺たちやっと恋人になれたねと笑う彼を傷つけたくなかった。
そして、彼以外とキスしたくなかった。
「離せっ・・・」
「好きなんだよ。後から俺が好きになっても、関係ない!」
「・・・日向」
見っともなくジタバタと暴れる飛雄をベンチに抑え付けて、小柄な日向が馬乗りになる。
ギュウギュウ抱き締められて、必死にしがみ付かれる。
唇を奪われて、口内の舌を荒らされて、舌を絡め取られる。
(なんで、俺なんだよ!)
飛雄は、さっぱり理解できなかった。
別に好かれるようなことはしてない、バレー以外で日向とは接点もなかった。
なぜ、自分はそこまで固執されるのだろうか。
疑問だけが飛雄の頭を駆け巡り、こんな行動を起こすチームメイトにも嫌悪しか抱けない。
「俺だって、好きなんだよ!」
もみ合っている隙に飛雄は、ベンチに押し倒されて、小柄な彼が覆い被さってくる。
真っすぐ射抜く日向の眸が、まるでスパイクを決める瞬間のように、ギラギラしている。
その眸に、魅入ってしまう。だって、まるでバレーを追いかけるような眸だったから。
「痛・・・」
「影山、影山・・・」
また、キスされる。
イヤダ、イヤダ・・・。
日向の手が、飛雄のシャツの中に入り込み、胸を触われる。
(ふざけんな・・・)
これ以上、好き勝手は許さない。
飛雄は、日向の鳩尾に膝蹴りをして、バランスを崩す彼から抜け出した。
手加減なしの力は、日向にそうとうなダメージを与えたようだ。
「痛・・・つう・・・」
「ふざけんな!こんなのするな!!!」
「影山~~」
はぁはぁと肩で息をした飛雄は、睨み付けてバシッと日向の頭を叩く。
先ほどの飛雄を抑え付けていた鋭い眼差しの日向はいなかった。
地面に胡坐をかいた彼は、ひでーとブツブツ呟いている。
(どっちがだよ!)
しかし、ヌメッとした嫌な空気が消え去り、いつもの日向に戻っている気がする。
それだけが、飛雄をホッとさせた。
時計を観れば、もう授業が始まっている。教室に、戻らなければならない。
少し砂埃を被った携帯を掴み、ポケットにしまう。
(もう及川さんに、電話できないな)
あちらも、授業中だろう。
切れてしまった電源を入れて、マナーモードにする。
背後では、パンパンと埃を叩く日向がいるが、飛雄の意識は傍にいない及川に向かっていた。
「俺、行くからな」
「待ってよ!俺も・・・」
「誰が、一緒に行くか」
「む・・・」
当分、話しかけて来るな。
そう呟いて、飛雄は足早に立ち去った。
及川さん、及川さん・・・何度も何度も、彼の名前をつぶやいた。
次回に続きます。
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