2013/02/01 20:46:31
及影の小話です。
及川モデルX影山大学生+岩泉です。
岩泉は、及川さんのマネージャーさんです。
今回は、出会い編。
↓
「岩ちゃん、この子と対談してみたい」
及川が、空き時間の潰しに読んでいたバレーマガジンに特集を組まれていたのは
天才セッターと名高い影山飛雄――大学生らしい。
また変なことを言い出したと岩泉が睨んでも、及川はどこ吹く風だ。
「確か、次週に対談するって仕事あったよね」
「・・・あったけど、相手は決まってるだろ?」
珍しく仕事の予定を覚えていたと思ったら、これだ。
一応、抵抗すべく岩泉は予定を口にする。
しかし、及川は詰まらないとばかりに眉を潜める。
「あんなタレントなんだか女優なんだか、曖昧な子は興味ない」
及川は、才能がある者が好きで、何かに秀でている者を見つけるのが巧い。
臭覚が優れているのかもしれない。
そして、その彼のお眼鏡に叶った男は、ユニフォームを着たスポーツマン。
(また変な構い方をしなきゃ、良いけどな)
何かに執着することは少ないが、一度気に入ると絶対に手放さずに傍に置きたがる。
それで言えば、自分もそうかもしれない。
二人が出会ったのは、大学の頃だった。
『岩ちゃん、俺モデルをするよ』
在学中、そんな宣言と共に及川はモデルになった。
街を歩いていたらスカウトされたらしく、それにアッサリ乗るのも彼らしいと思った。
大学は休みがちになったが、退学することはなかった。そして、今度は
『俺のマネージャーになってよ、岩ちゃん』
岩泉が就活に明け暮れる四年の夏、モデルを本業とするらしい(噂で流れてきた)及川は
海外を飛び回るほど有名になり、多忙を極めていた。
キャンパスで顔を合わせる機会も少なくなっていた時だった。
『はぁ?何言ってんだよ』
『まだ就職、決まってないんデショ?』
『・・・・・・まぁな』
『なら、良いじゃない』
そんな誘いと共に岩泉は、全く無関係だと思っていた世界に飛び込んだ。
華やいだ世界は、競争も激しく妬みも多い。
飄々と業界を渡り歩いている及川だが、岩泉から見れば、誰も信用してないように思えた。
(だから、俺なのか?)
そう思いつつも、流石にそれは恥ずかしくて、及川に尋ねることはなかった。
彼が、自分を選んで誘った。それで十分だと思ったから。
及川もいい加減に見えて、仕事はキッチリするので、楽は楽だった。
「・・・我儘じゃなきゃーな」
過去を思い出し岩泉がポツリと呟けば、及川は「何かな?岩ちゃん」とニヤニヤ笑った。
どうせ自分が、拒絶しないと分かっているのだろう。
相変わらずそうゆう所は、嫌なヤツだ。
「なんでもねぇよ」
あの女優に、断りを入れなきゃな。
及川を気に入った先方が、是非に!と乗り気だったがしょうがない。
また社長に泣かれるかな・・・と岩泉は、溜息を付いた。
●●●恋愛ウイルス浸透中●●●
「対談?」
監督に言われ、飛雄は首を傾げる。
どうやら大学の広報から依頼が来たらしい。
いつものバレーマガジンじゃなくて(そちらなら、広報を通さない)ファッション雑誌らしい。
「及川徹?知らなねぇ」
「え!知らないの?!影山」
意外とミーナーは日向は、俺は知ってる!とばかりにハイハイと挙手をしている。
片手には、背が伸びるようにとお馴染みの牛乳を手にしている。
大学生になれば、成長もある程度は止まるはずだが、日向は、まだ諦めてないらしい。
「俺が、そのモデルの人と対談・・・」
何を喋れば、いいんだ?
如何せんバレー一筋な飛雄は、未知の世界だ。
何とかなるだと安易なチームメイトのアドバイスに、渋々頷いた。
*
(随分、暗いな)
及川がまだ撮影中なので、飛雄はスタジオの隅で待っていた。
名前だけしか知らなかった彼をようやく間近で見ることができた。
日向に彼のプロフィールを簡単に教えてもらったが、結局、彼が掲載されてる雑誌は買わなかった。
(この人が・・・)
圧倒的な存在感、力強い眸、飛雄は惹き込まれるように彼を見つめた。
男を綺麗だと思ったことはないが(周りは、ムサイスポーツマンばかりだし)
彼は思わず見惚れてしまった。
――パチっ
(あ・・・)
及川と眸が出会って、ニコッと笑われる。
なかなか人懐っこい笑みだ。
カメラに向かっている時は、人を寄せ付けない感じだったが、実際は違うみたいだ。
「休憩ーーー!」
暫くするとひと休みになり、スタジオはザワザワと騒がしくなる。
付き合わせて悪いなと傍に来た男が、ペットの茶を差し出してくれた。
控室で対談するからと、彼が案内をしてくれた。
「キミが、トビオちゃんか~」
及川はモデルだけあって背が高く、飛雄よりも若干高かった。
しかし、初対面な相手に『ちゃん』付けはどうだろう。
馴れ馴れしいにもほどがある。
「及川!失礼だぞ」
「良いじゃん、岩ちゃん」
マネージャだという岩泉が、済まないと及川の代わりに謝ってくれた。
どうやら彼は、苦労人らしい。
モデルなんてみんな及川みたいかと思ったら、真面な人もいるらしい。
「キミのことは、バレーマガジンで見たんだ」
「・・・どうも」
「すごい天才みたいだね~」
「はぁ」
パイプ椅子にお互い腰を下ろしたが、及川に肩を抱かれてニコリと笑われる。
距離が近いし、なんで引っ付かれるんだろう。意味が解らない。
飛雄はどう反応すべきか、困る。
(よく分からない人だな)
「今度、試合を見に行っても良い?」
「はぁ・・・」
対談どころじゃなくて、これじゃナンパじゃないか。
飛雄が戸惑っていれば、岩泉が気が早いだろうと突っ込んでくる。
その後は、ファッションやバレーについて語り対談らしくなりお開きになった。
「じゃ、失礼します」
飛雄は席を立ち、丁寧にお辞儀をして立ち去ろうとすれば引き留められる。
及川が、ねぇとジッと見下ろしていた。
笑みを浮かべてない彼は、どこか男らしくて見つめ返してしまった。
「・・・?」
「今度は、仕事抜きで逢おうよ」
「え?」
「もっと飛雄のことを知りたいから」
呼び捨て・・・
そう突っ込む前に、及川の真剣な顔が吐息が掛かるぐらい近くにあった。
呆然とすれば、ちゅっとキスをされる。
「んっ・・・つぅ」
いきなりキスをされ、下唇をカジッと咬まれる。
結構な痛さで、キスに驚くよりも痛みで及川の胸を押しやった。
キッと睨みつけて、思わず怒鳴ってしまった。
「何するんですか!!」
「約束のキス」
その傷が治る前に、デートしょうね。
ニッコリと及川が笑った。
そして、気が付けばお互いの連絡先を交換する羽目になった。
<余談>
「何やってるんだ!及川ーーー!」
一部始終を見ていた岩泉が、力いっぱい及川の頭を叩いた。
そして、真っ青な顔をして飛雄に頭を下げる。
「岩ちゃん!何するの!」
「それは、こっちのセリフだ!何やってるんだ!お前!!」
「殴る?普通?!」
「顔を殴らなかっただけ、マシと思え!」
喧々とやり合う二人に飛雄は、変な人たちと部外者の様に眺めていた。
画像は、素材サイト様から拝借 http://sweety.chips.jp/index.html
及川モデルX影山大学生+岩泉です。
岩泉は、及川さんのマネージャーさんです。
今回は、出会い編。
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「岩ちゃん、この子と対談してみたい」
及川が、空き時間の潰しに読んでいたバレーマガジンに特集を組まれていたのは
天才セッターと名高い影山飛雄――大学生らしい。
また変なことを言い出したと岩泉が睨んでも、及川はどこ吹く風だ。
「確か、次週に対談するって仕事あったよね」
「・・・あったけど、相手は決まってるだろ?」
珍しく仕事の予定を覚えていたと思ったら、これだ。
一応、抵抗すべく岩泉は予定を口にする。
しかし、及川は詰まらないとばかりに眉を潜める。
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及川は、才能がある者が好きで、何かに秀でている者を見つけるのが巧い。
臭覚が優れているのかもしれない。
そして、その彼のお眼鏡に叶った男は、ユニフォームを着たスポーツマン。
(また変な構い方をしなきゃ、良いけどな)
何かに執着することは少ないが、一度気に入ると絶対に手放さずに傍に置きたがる。
それで言えば、自分もそうかもしれない。
二人が出会ったのは、大学の頃だった。
『岩ちゃん、俺モデルをするよ』
在学中、そんな宣言と共に及川はモデルになった。
街を歩いていたらスカウトされたらしく、それにアッサリ乗るのも彼らしいと思った。
大学は休みがちになったが、退学することはなかった。そして、今度は
『俺のマネージャーになってよ、岩ちゃん』
岩泉が就活に明け暮れる四年の夏、モデルを本業とするらしい(噂で流れてきた)及川は
海外を飛び回るほど有名になり、多忙を極めていた。
キャンパスで顔を合わせる機会も少なくなっていた時だった。
『はぁ?何言ってんだよ』
『まだ就職、決まってないんデショ?』
『・・・・・・まぁな』
『なら、良いじゃない』
そんな誘いと共に岩泉は、全く無関係だと思っていた世界に飛び込んだ。
華やいだ世界は、競争も激しく妬みも多い。
飄々と業界を渡り歩いている及川だが、岩泉から見れば、誰も信用してないように思えた。
(だから、俺なのか?)
そう思いつつも、流石にそれは恥ずかしくて、及川に尋ねることはなかった。
彼が、自分を選んで誘った。それで十分だと思ったから。
及川もいい加減に見えて、仕事はキッチリするので、楽は楽だった。
「・・・我儘じゃなきゃーな」
過去を思い出し岩泉がポツリと呟けば、及川は「何かな?岩ちゃん」とニヤニヤ笑った。
どうせ自分が、拒絶しないと分かっているのだろう。
相変わらずそうゆう所は、嫌なヤツだ。
「なんでもねぇよ」
あの女優に、断りを入れなきゃな。
及川を気に入った先方が、是非に!と乗り気だったがしょうがない。
また社長に泣かれるかな・・・と岩泉は、溜息を付いた。
●●●恋愛ウイルス浸透中●●●
「対談?」
監督に言われ、飛雄は首を傾げる。
どうやら大学の広報から依頼が来たらしい。
いつものバレーマガジンじゃなくて(そちらなら、広報を通さない)ファッション雑誌らしい。
「及川徹?知らなねぇ」
「え!知らないの?!影山」
意外とミーナーは日向は、俺は知ってる!とばかりにハイハイと挙手をしている。
片手には、背が伸びるようにとお馴染みの牛乳を手にしている。
大学生になれば、成長もある程度は止まるはずだが、日向は、まだ諦めてないらしい。
「俺が、そのモデルの人と対談・・・」
何を喋れば、いいんだ?
如何せんバレー一筋な飛雄は、未知の世界だ。
何とかなるだと安易なチームメイトのアドバイスに、渋々頷いた。
*
(随分、暗いな)
及川がまだ撮影中なので、飛雄はスタジオの隅で待っていた。
名前だけしか知らなかった彼をようやく間近で見ることができた。
日向に彼のプロフィールを簡単に教えてもらったが、結局、彼が掲載されてる雑誌は買わなかった。
(この人が・・・)
圧倒的な存在感、力強い眸、飛雄は惹き込まれるように彼を見つめた。
男を綺麗だと思ったことはないが(周りは、ムサイスポーツマンばかりだし)
彼は思わず見惚れてしまった。
――パチっ
(あ・・・)
及川と眸が出会って、ニコッと笑われる。
なかなか人懐っこい笑みだ。
カメラに向かっている時は、人を寄せ付けない感じだったが、実際は違うみたいだ。
「休憩ーーー!」
暫くするとひと休みになり、スタジオはザワザワと騒がしくなる。
付き合わせて悪いなと傍に来た男が、ペットの茶を差し出してくれた。
控室で対談するからと、彼が案内をしてくれた。
「キミが、トビオちゃんか~」
及川はモデルだけあって背が高く、飛雄よりも若干高かった。
しかし、初対面な相手に『ちゃん』付けはどうだろう。
馴れ馴れしいにもほどがある。
「及川!失礼だぞ」
「良いじゃん、岩ちゃん」
マネージャだという岩泉が、済まないと及川の代わりに謝ってくれた。
どうやら彼は、苦労人らしい。
モデルなんてみんな及川みたいかと思ったら、真面な人もいるらしい。
「キミのことは、バレーマガジンで見たんだ」
「・・・どうも」
「すごい天才みたいだね~」
「はぁ」
パイプ椅子にお互い腰を下ろしたが、及川に肩を抱かれてニコリと笑われる。
距離が近いし、なんで引っ付かれるんだろう。意味が解らない。
飛雄はどう反応すべきか、困る。
(よく分からない人だな)
「今度、試合を見に行っても良い?」
「はぁ・・・」
対談どころじゃなくて、これじゃナンパじゃないか。
飛雄が戸惑っていれば、岩泉が気が早いだろうと突っ込んでくる。
その後は、ファッションやバレーについて語り対談らしくなりお開きになった。
「じゃ、失礼します」
飛雄は席を立ち、丁寧にお辞儀をして立ち去ろうとすれば引き留められる。
及川が、ねぇとジッと見下ろしていた。
笑みを浮かべてない彼は、どこか男らしくて見つめ返してしまった。
「・・・?」
「今度は、仕事抜きで逢おうよ」
「え?」
「もっと飛雄のことを知りたいから」
呼び捨て・・・
そう突っ込む前に、及川の真剣な顔が吐息が掛かるぐらい近くにあった。
呆然とすれば、ちゅっとキスをされる。
「んっ・・・つぅ」
いきなりキスをされ、下唇をカジッと咬まれる。
結構な痛さで、キスに驚くよりも痛みで及川の胸を押しやった。
キッと睨みつけて、思わず怒鳴ってしまった。
「何するんですか!!」
「約束のキス」
その傷が治る前に、デートしょうね。
ニッコリと及川が笑った。
そして、気が付けばお互いの連絡先を交換する羽目になった。
<余談>
「何やってるんだ!及川ーーー!」
一部始終を見ていた岩泉が、力いっぱい及川の頭を叩いた。
そして、真っ青な顔をして飛雄に頭を下げる。
「岩ちゃん!何するの!」
「それは、こっちのセリフだ!何やってるんだ!お前!!」
「殴る?普通?!」
「顔を殴らなかっただけ、マシと思え!」
喧々とやり合う二人に飛雄は、変な人たちと部外者の様に眺めていた。
画像は、素材サイト様から拝借 http://sweety.chips.jp/index.html
2013/01/10 22:41:48
及影の小話です。
及影←日向の三つ巴です。
影山の自慰あり。
前回の続きです。
ブログのカテゴリー「及影」で、まとめて読むことができます。
↓
及影←日向の三つ巴です。
影山の自慰あり。
前回の続きです。
ブログのカテゴリー「及影」で、まとめて読むことができます。
↓
バシ・・・ッ
体育館に人の息遣いと、ボールの跳ねる音が響いている。
けれど館内に残っているのは、一人だけなのだろう。
部活中なら、大勢の掛け声やシューズの音などで活気に溢れている筈だから。
(及川さん・・・)
飛雄は、部活が終わった後に、青城高校にやってきたのだ。
いつもなら、部員のみんなと買い食いをして、ノンビリ帰るはずだったが
日中の出来事を思い返せば、練習中以外で日向の顔を見たくなかったし
少しでも早く、及川に逢いたかったから。
「及川さん・・・」
そっと扉を開ければ、飛雄の予想通り一人で練習をしていた。
彼はヘラヘラしてるし、いい加減だけど、バレーの情熱は人一倍だ。
暫く眺めていれば、サーブの練習を何本もしている。
この間の練習試合よりも、ジャンプサーブのキレとコントロールが鋭くなっている。
「で、いつまで見ているのかな?」
気付かれてないと思っていたが、及川は振り返り不敵な笑みを浮かべていた。
敵情視察?言っとくけど、手の内はまだ見せないよ。
なんて、ライバル校らしい発言をしていた。
「及川さん・・・!」
「なに?」
「昼間のこと、あの、謝りたくて・・・」
「ふうん?な~んで、トビオちゃんが謝るの?」
お前は、無理やりヤラレただけでしょ?
だったらお前は、悪くないじゃない。
唇を歪めた及川は、眸は全く笑って無くて、飛雄を憎しみの込めた色を浮かべていた。
(及川さん・・・)
彼を傷つけただろうか。
彼の言うとおり、望んで日向とキスをしたわけじゃない。
それでも、別のヤツとキスをしたのだ。もしこれが自分だったら、許せないと思った。
「じゃーさっ」
俺は何とも思ってないけど、飛雄が謝りたいなら、罪滅ぼししてもらおうかな。
こっちに、おいで。
及川が、まだ扉に佇んでいる飛雄に手を差し伸べた。
彼に導かれるまま近づけば、壁に体を乱暴に押し付けられる。打ち付けられた背中が、痛い。
「ツゥ・・・」
「お前は、いつだって無防備だね」
「及川、さん・・・」
「天才だからかな?」
「・・・?」
「あの小さい子が、お前を狙っているのなんて、気付いていたよ」
「・・・!」
いつか、こんなことが怒るじゃないかと危惧していたけどね。その通りだ。
目の前に好きなヤツが、いるんだよ?男なら、手を出したくなるだろ。
お前は、その辺りの機微が全く分かっていない。
「だから、お仕置き」
及川の大きな手が、飛雄の頬をそっとそっと撫でて、その手は少しずつ下に落ちる。
ただ触られているだけなのに、飛雄は情事を思い出してしまい、
次第に、体の奥に熱が灯るのが分かった。
「ねぇ?自分でシテみてよ」
「及川さん?!」
下肢を何度も撫でる及川は、飛雄の焦る反応にペロリと自身の唇を舐めていた。
その仕草にどうしょうもなく意識が奪われる。
キスがしたいと思ってしまう。
「自分でココ、扱いてみてよ」
「あ・・・」
「できるデショ?」
「あ・・・!」
俺が、脱がしてあげるね。
スラックスのベルトをガチャガチャと外す音が、体育館に響く。
そうだ、ここは他校で、しかも体育館。
「及川さん!待ってください・・・」
我に返った飛雄は、人が現れるんじゃないかと気が気じゃない。
練習が終わってても、校内にはまだ生徒がいるかもしれないのだ。
誰かに見られたら、言い訳ができない。
「飛雄、煩い」
「・・・っ」
「ほら、手を貸して」
スラックスを寛がせて、下着も降ろされて、及川が飛雄の両手を下肢へ押し付ける。
下から見上げている及川が男臭くて、雁字搦めになる。
逃げられない。どうしょうもなく溺れてしまう。
(この人が、好きだ)
及川に促されて、飛雄は恐る恐る自身を触る。
自身が反応していて、思わす手を離しそうになるが、
及川が上から飛雄の手を掴んでいて、もっとちゃんと扱いてと命じられる。
「及川さ・・・ん」
「ほら、ちゃんとヤって」
「あぁ・・・ん」
「そう上手いよ」
跪く及川の息が、下肢に掛かってくつぐったい。
飛雄は、腰に力が入らなくなってきて、ズルズルと腰を下ろしてしまう。
上半身を壁へ凭れかけて、及川の言われるまま手を必死に動かす。
「ん。上手だね」
「あぁ・・・ん、や・・・あぁん」
「ココが、トビオちゃんの気持ちイイところだ」
すごいね、もうトロトロ。
及川の指摘通り、下肢はクチュクチュと水音を立てて自身から雫が零れている。
自分で扱いているはずなのに、及川にされてるみたいだ。
(及川さん、及川さん・・・)
キスがしたい。あの唇に奪われたい。
飛雄の強請る視線を感じたのだろうか、及川の指がそっと飛雄の唇に触れる。
けれど、キスはしてくれない。
「もうイキそう?」
「あっ・・・あっあっ・・・」
「じゃ、イっていいよ」
ちゅっと耳元にキスが落ちた。
飛雄は、及川の声に導かれるまま、必死に手を動かし、とぷんと吐き出してしまった。
荒い息をする飛雄の身体を及川が強く強く抱き締めてくれた。
●●● あきらめない心 3 ●●●
「キス、してくださ・・・い」
飛雄が自身を扱いている間も、及川に無言で強請っているのを知っていた。
しかし、わざと知らんぷりをした。
あの唇が、自分以外を知ってしまったせいだろうか。
(そんな潔癖症だったけ?俺)
素直に謝って、及川の言うとおり下肢を乱れさせる飛雄は
快楽に溺れていて可愛いが、同時に憎たらしかった。
それを嫉妬だと気付かないのは、及川はいつも想われる側だったからだろうか。
「及川さん・・・」
「こっちは、俺が触ってあげるね」
「え、あ・・・あぁん。はぁ・・・んぅ」
自身のさらに奥、蕾をそっと突けば、飛雄はハッと及川を見下ろしている。
涙の溜まった眸をペロリと舐めて、挿れて良い?とお伺いを立てる。
もちろん首を横に振っても、及川は止めるつもりは、毛頭ない。
「まだ、固いかな?」
プツッと指一本だけ入れてみれば、まだ及川を抵抗するように固く緊張していた。
及川は、飛雄のシャツの下に肩方の手を入れて、ツンと立ちあがっている紅い実を触れる。
一度欲望を吐き出した飛雄自身を再び後輩に扱かせた。
「及川さん・・・!」
「一度、イッてるから、敏感だね」
「や・・・ソコ、止めてくださ・・・あぁん」
「だって、気持ち良さそうだよ?」
及川の指先が、飛雄の前立腺を攻めたのだろう。
泣き叫ぶような喘ぎ声が、館内に響いた。
普段は部員たちが汗を流す場が、淫らな場に色塗られていく。
(飛雄、飛雄・・・)
2本の指をナカに挿れて、掻き混ぜれば、ビクビクと飛雄の体が跳ねる。
及川の指の出し入れする動きと、飛雄の自身を扱く手の動きが重なり一層淫らだ。
飛雄が、ギュッと眸を閉じた拍子に、涙がポロポロと零れてしまった。
(綺麗だなぁ)
この涙を見るたびに、及川は、飛雄に何度だって恋をしてしまう。
堕ちてしまう。何もかも奪われてしまう。
この鈍い後輩は、負けているのは自分だといつも怒っているが、違う。
(負けているのは、俺の方だよ。トビオちゃん)
「及川さぁん・・・あぁ・・・ん・・・やぁ・・・」
「俺が、欲しい?」
「あぁん、欲し・・・欲しぃ・・・」
「ん、全部あげる」
だから俺にも、飛雄をちょうだい。
そう囁いて強請る飛雄の秘所に入り込み、ナカに触れた瞬間。
あんなに触れたくないと思っていた唇が欲しくなって、唇を重ねる。
「飛雄・・・」
触れるだけだった唇を深いキスに変えて、口内を暴いた。
及川のペースで舌を絡めてたせいで、飛雄は息継ぎができないらしく
トントン・・・と及川の背を叩いて止めようとするが、及川は止めなかった。
「あ・・・はふ・・・」
「トビオちゃん、もっと・・・」
「んっんぅ・・・んぅ」
キスに夢中になり、及川の首にしがみ付く飛雄にニヤリと笑って
秘所に挿入したままだった自身をガンッと突き上げた。
途端に、飛雄の秘所は及川をキュウキュウ締め付けて、離さない。
「あぁ、あぁ、あぁ・・・ん」
「やっばい、飛雄」
それ、気持ち良過ぎ。
飛雄の腰を掴んで、手加減なくガンガンと下から突き上げれば、
ガクンッと後ろに倒れ込みそうになる体を支えて、座位の体位に変える。
「深・・・ぁ、あぁん、イイ・・・」
「ん、気持ちイイね」
「もっと、もっと・・・して、くださっ・・・」
「淫乱」
及川の肩に擦り寄ってしがみ付く、飛雄の耳にそっと息を吹きかけて
酷い言葉を投げかける。
それでも、その声にも反応しているのが、飛雄のナカの締め付けが半端ない。
(どんだけ、良いんだよ)
溺れる。飛雄がどうしょうもなく好きだ。
誰にも渡さない。奪われる気なんて、さらさらない。
及川の腕で喘ぐ飛雄は、自分だけのモノだ。
「イく、や・・・」
「ん。イこうか」
二人で、同時に欲望を吐き出した。
飛雄とは学校も違って、いつも逢えるわけじゃない。
しかし、こうやって抱き合って、お互いの熱を共有すれば、より近づける。
そう信じたかった。
体育館に人の息遣いと、ボールの跳ねる音が響いている。
けれど館内に残っているのは、一人だけなのだろう。
部活中なら、大勢の掛け声やシューズの音などで活気に溢れている筈だから。
(及川さん・・・)
飛雄は、部活が終わった後に、青城高校にやってきたのだ。
いつもなら、部員のみんなと買い食いをして、ノンビリ帰るはずだったが
日中の出来事を思い返せば、練習中以外で日向の顔を見たくなかったし
少しでも早く、及川に逢いたかったから。
「及川さん・・・」
そっと扉を開ければ、飛雄の予想通り一人で練習をしていた。
彼はヘラヘラしてるし、いい加減だけど、バレーの情熱は人一倍だ。
暫く眺めていれば、サーブの練習を何本もしている。
この間の練習試合よりも、ジャンプサーブのキレとコントロールが鋭くなっている。
「で、いつまで見ているのかな?」
気付かれてないと思っていたが、及川は振り返り不敵な笑みを浮かべていた。
敵情視察?言っとくけど、手の内はまだ見せないよ。
なんて、ライバル校らしい発言をしていた。
「及川さん・・・!」
「なに?」
「昼間のこと、あの、謝りたくて・・・」
「ふうん?な~んで、トビオちゃんが謝るの?」
お前は、無理やりヤラレただけでしょ?
だったらお前は、悪くないじゃない。
唇を歪めた及川は、眸は全く笑って無くて、飛雄を憎しみの込めた色を浮かべていた。
(及川さん・・・)
彼を傷つけただろうか。
彼の言うとおり、望んで日向とキスをしたわけじゃない。
それでも、別のヤツとキスをしたのだ。もしこれが自分だったら、許せないと思った。
「じゃーさっ」
俺は何とも思ってないけど、飛雄が謝りたいなら、罪滅ぼししてもらおうかな。
こっちに、おいで。
及川が、まだ扉に佇んでいる飛雄に手を差し伸べた。
彼に導かれるまま近づけば、壁に体を乱暴に押し付けられる。打ち付けられた背中が、痛い。
「ツゥ・・・」
「お前は、いつだって無防備だね」
「及川、さん・・・」
「天才だからかな?」
「・・・?」
「あの小さい子が、お前を狙っているのなんて、気付いていたよ」
「・・・!」
いつか、こんなことが怒るじゃないかと危惧していたけどね。その通りだ。
目の前に好きなヤツが、いるんだよ?男なら、手を出したくなるだろ。
お前は、その辺りの機微が全く分かっていない。
「だから、お仕置き」
及川の大きな手が、飛雄の頬をそっとそっと撫でて、その手は少しずつ下に落ちる。
ただ触られているだけなのに、飛雄は情事を思い出してしまい、
次第に、体の奥に熱が灯るのが分かった。
「ねぇ?自分でシテみてよ」
「及川さん?!」
下肢を何度も撫でる及川は、飛雄の焦る反応にペロリと自身の唇を舐めていた。
その仕草にどうしょうもなく意識が奪われる。
キスがしたいと思ってしまう。
「自分でココ、扱いてみてよ」
「あ・・・」
「できるデショ?」
「あ・・・!」
俺が、脱がしてあげるね。
スラックスのベルトをガチャガチャと外す音が、体育館に響く。
そうだ、ここは他校で、しかも体育館。
「及川さん!待ってください・・・」
我に返った飛雄は、人が現れるんじゃないかと気が気じゃない。
練習が終わってても、校内にはまだ生徒がいるかもしれないのだ。
誰かに見られたら、言い訳ができない。
「飛雄、煩い」
「・・・っ」
「ほら、手を貸して」
スラックスを寛がせて、下着も降ろされて、及川が飛雄の両手を下肢へ押し付ける。
下から見上げている及川が男臭くて、雁字搦めになる。
逃げられない。どうしょうもなく溺れてしまう。
(この人が、好きだ)
及川に促されて、飛雄は恐る恐る自身を触る。
自身が反応していて、思わす手を離しそうになるが、
及川が上から飛雄の手を掴んでいて、もっとちゃんと扱いてと命じられる。
「及川さ・・・ん」
「ほら、ちゃんとヤって」
「あぁ・・・ん」
「そう上手いよ」
跪く及川の息が、下肢に掛かってくつぐったい。
飛雄は、腰に力が入らなくなってきて、ズルズルと腰を下ろしてしまう。
上半身を壁へ凭れかけて、及川の言われるまま手を必死に動かす。
「ん。上手だね」
「あぁ・・・ん、や・・・あぁん」
「ココが、トビオちゃんの気持ちイイところだ」
すごいね、もうトロトロ。
及川の指摘通り、下肢はクチュクチュと水音を立てて自身から雫が零れている。
自分で扱いているはずなのに、及川にされてるみたいだ。
(及川さん、及川さん・・・)
キスがしたい。あの唇に奪われたい。
飛雄の強請る視線を感じたのだろうか、及川の指がそっと飛雄の唇に触れる。
けれど、キスはしてくれない。
「もうイキそう?」
「あっ・・・あっあっ・・・」
「じゃ、イっていいよ」
ちゅっと耳元にキスが落ちた。
飛雄は、及川の声に導かれるまま、必死に手を動かし、とぷんと吐き出してしまった。
荒い息をする飛雄の身体を及川が強く強く抱き締めてくれた。
●●● あきらめない心 3 ●●●
「キス、してくださ・・・い」
飛雄が自身を扱いている間も、及川に無言で強請っているのを知っていた。
しかし、わざと知らんぷりをした。
あの唇が、自分以外を知ってしまったせいだろうか。
(そんな潔癖症だったけ?俺)
素直に謝って、及川の言うとおり下肢を乱れさせる飛雄は
快楽に溺れていて可愛いが、同時に憎たらしかった。
それを嫉妬だと気付かないのは、及川はいつも想われる側だったからだろうか。
「及川さん・・・」
「こっちは、俺が触ってあげるね」
「え、あ・・・あぁん。はぁ・・・んぅ」
自身のさらに奥、蕾をそっと突けば、飛雄はハッと及川を見下ろしている。
涙の溜まった眸をペロリと舐めて、挿れて良い?とお伺いを立てる。
もちろん首を横に振っても、及川は止めるつもりは、毛頭ない。
「まだ、固いかな?」
プツッと指一本だけ入れてみれば、まだ及川を抵抗するように固く緊張していた。
及川は、飛雄のシャツの下に肩方の手を入れて、ツンと立ちあがっている紅い実を触れる。
一度欲望を吐き出した飛雄自身を再び後輩に扱かせた。
「及川さん・・・!」
「一度、イッてるから、敏感だね」
「や・・・ソコ、止めてくださ・・・あぁん」
「だって、気持ち良さそうだよ?」
及川の指先が、飛雄の前立腺を攻めたのだろう。
泣き叫ぶような喘ぎ声が、館内に響いた。
普段は部員たちが汗を流す場が、淫らな場に色塗られていく。
(飛雄、飛雄・・・)
2本の指をナカに挿れて、掻き混ぜれば、ビクビクと飛雄の体が跳ねる。
及川の指の出し入れする動きと、飛雄の自身を扱く手の動きが重なり一層淫らだ。
飛雄が、ギュッと眸を閉じた拍子に、涙がポロポロと零れてしまった。
(綺麗だなぁ)
この涙を見るたびに、及川は、飛雄に何度だって恋をしてしまう。
堕ちてしまう。何もかも奪われてしまう。
この鈍い後輩は、負けているのは自分だといつも怒っているが、違う。
(負けているのは、俺の方だよ。トビオちゃん)
「及川さぁん・・・あぁ・・・ん・・・やぁ・・・」
「俺が、欲しい?」
「あぁん、欲し・・・欲しぃ・・・」
「ん、全部あげる」
だから俺にも、飛雄をちょうだい。
そう囁いて強請る飛雄の秘所に入り込み、ナカに触れた瞬間。
あんなに触れたくないと思っていた唇が欲しくなって、唇を重ねる。
「飛雄・・・」
触れるだけだった唇を深いキスに変えて、口内を暴いた。
及川のペースで舌を絡めてたせいで、飛雄は息継ぎができないらしく
トントン・・・と及川の背を叩いて止めようとするが、及川は止めなかった。
「あ・・・はふ・・・」
「トビオちゃん、もっと・・・」
「んっんぅ・・・んぅ」
キスに夢中になり、及川の首にしがみ付く飛雄にニヤリと笑って
秘所に挿入したままだった自身をガンッと突き上げた。
途端に、飛雄の秘所は及川をキュウキュウ締め付けて、離さない。
「あぁ、あぁ、あぁ・・・ん」
「やっばい、飛雄」
それ、気持ち良過ぎ。
飛雄の腰を掴んで、手加減なくガンガンと下から突き上げれば、
ガクンッと後ろに倒れ込みそうになる体を支えて、座位の体位に変える。
「深・・・ぁ、あぁん、イイ・・・」
「ん、気持ちイイね」
「もっと、もっと・・・して、くださっ・・・」
「淫乱」
及川の肩に擦り寄ってしがみ付く、飛雄の耳にそっと息を吹きかけて
酷い言葉を投げかける。
それでも、その声にも反応しているのが、飛雄のナカの締め付けが半端ない。
(どんだけ、良いんだよ)
溺れる。飛雄がどうしょうもなく好きだ。
誰にも渡さない。奪われる気なんて、さらさらない。
及川の腕で喘ぐ飛雄は、自分だけのモノだ。
「イく、や・・・」
「ん。イこうか」
二人で、同時に欲望を吐き出した。
飛雄とは学校も違って、いつも逢えるわけじゃない。
しかし、こうやって抱き合って、お互いの熱を共有すれば、より近づける。
そう信じたかった。
2012/11/23 22:28:08
及影の小話です。
及影←日向の三つ巴です。
日向は直接登場してませんが、三つ巴です。
前回の続きです。
WJ50号、37話に萌えて突発で作りました。
裏ありです。
ブログのカテゴリー「及影」で、まとめて読むことができます。
↓
及影←日向の三つ巴です。
日向は直接登場してませんが、三つ巴です。
前回の続きです。
WJ50号、37話に萌えて突発で作りました。
裏ありです。
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↓
「そう、巧いよ。飛雄・・・」
及川は、飛雄の丸い真っ黒な頭をそっと撫でて褒めてあげる。
上がりそうない息をグッと堪えて、誤魔化すように下唇を舐める。
ココは、及川の部屋で、ベッドに腰を掛けている。
(良い眺めだね)
景色はまだ明るく、外からは日常の音で溢れているのに、室内は水音と荒い息遣いばかりだ。
甘いような、籠った空気に及川はひっそり笑う。
飛雄は跪いて及川の下肢に顔を埋め、及川自身を口に含んでいる。
「及川さ・・・んぐ」
「止めちゃダメだよ。もう少し続けて」
「はふ・・・ん」
飛雄にフェラをしてもらうのは、そんなに回数は少ない。
いつもは強請って強請って、渋々やってくれるのだが、今回は珍しく自分から
スルと言い出したのだ。
(罪滅ぼしかな)
欲しいと誘ったのは及川だけど、この辺りの展開まで予想してなかった。
ふう・・・と息を吐いて、目の前の身体を眺める。
飛雄は、烏山の学ランのみ脱いで、シャツ姿だった。
「トビオちゃん、腰揺れてない?」
「あっっひゃ・・・!はふ・・・ん」
意地悪するように及川は、無防備な背中にツツツ・・・と指を添わせれば
飛雄は大げさに体を震わせるから、可愛くて楽しい。
及川は、もっともっと意地悪したくなる。
(ねぇ、俺だってお前に触りたいんだよ?)
滅多にない飛雄に求められて、興奮しない方がオカシイ。
早くあのナカに入りたいし、吐き出したい。
でも、この奉仕している飛雄を手放すのも勿体ない。
「ねぇ、一緒にしょうか」
欲張りな自分は、そう飛雄を誘ってフローリングに膝を付く子を強引に引き上げた。
飛雄が、及川を気持ちよくさせてくれるように、自分もしたいのだ。
そしてもっと飛雄を乱してやりたい。
「ん、ゃ、ふひゃんっ!? 」
「飛雄、ダメだよ?続けてよ」
「あ、でも・・・んあっ」
及川は自身がベッドに横になり、自分の上に飛雄を跨らせた。
所謂69の格好だ。
戸惑った飛雄を有無を言わさず、強引にこの体勢にして、パクッと飛雄自身を口に淹れた。
(何もしてないはずなのに、こんなじゃん)
「ねぇ、俺のシテて、興奮してた?」
「ぁ、っひ・・・あぁん」
「ほら、喘いでないで、ちゃんと答えてよ?」
「ちが・・・んふ・・・ぁ」
違わないよ。
アソコが、ダラダラと滴が零れていて、快楽に浸っているのが分かる。
性格は分かりにくいが、体は素直だ。
(俺のモノだよ、トビオちゃん)
誰にも、渡さない。
例えそれが、日向でも。
自分は飛雄とはライバル校に在籍しているが、関係ない。
「ん・・・あ・・・やん、んっ、ふああ・・・」
「飛雄・・・く・・・」
いつの間にか、お互いが夢中になって、舐め合っていた。
飛雄は負けずに及川のモノを口に入れて、ペロペロと舌を使って愛撫をしたし、
及川は、秘所に指を淹れて、舌で自身を絡め取った。
●●●10年後でも、20年後でも 後編●●●
「お、及川さぁ・・・ん!」
ベッドが、ギシギシと揺れている。
目の前では、及川は荒い息をして飛雄の腰を鷲掴みにしている。
バレー中も彼は、男っぽいが、最中はより野生染みている。
(及川さん・・・)
バレー以外で、彼がこんなに夢中になるのは自分だけであれば良い。
他に余所見をしないで、飛雄だけを見ていて欲しい。
なんて、我儘なのは分かっているが、止められない独占欲だ。
「・・・あッ・・・ぁん、や」
「トビオちゃんの声、可愛いなぁ」
「あ、あっあっ」
及川の太くて力強い指が飛雄の顔をそっと撫でる。
この手が、好きだ。
思わずペロリと彼の指を舐めれば、グッと彼の顔が近寄る。
「飛雄?タチが悪いよ?」
「あ・・・あっあっダメえ・・・」
「酷いこと、しちゃうデショ?」
宣言した及川は、飛雄の腰を掴みガシガシと無遠慮に出し入れを繰り返す。
そのたびに、飛雄のナカがキュウキュウと締まって、及川自身をヤラしく噛んでしまう。
はふはふと酸欠になりそうで、飛雄は必死に酸素を取り込んだ。
「トビオちゃんのナカ、最高」
「も、もっと、やさしく・・・んっ・・・あんっ!!」
「でも、コレも嫌いじゃない・・・でしょっ」
「ひやぁぁん!あんっあんっ!! 」
まるで女の子のように甘ったるい声が、喉から引っ切り無しに出てしまう。
自分は、男なのだから、及川だってこんなの嫌だろう。
必死に唇を噛みしめていても、それは及川が飛雄の口内に指を入れて阻んでしまう。
(も・・・やめ・・・)
普段も意地悪だが、ベッドでは及川はもっと酷い。
いや、その時によるのだろうか。
今はまるで、飛雄を追い詰めるように激しく抱いてくる。
「飛雄、飛雄・・・」
「・・・あッ・・・ぁん・・・や」
そんな声で呼ばないで欲しい。
プライドも、意地も何もかも捨てて、及川を求めてしまうから。
欲しくなってしまうから。
(及川さん、及川さん・・・)
「飛雄、好きだよ」
小さく小さく囁かれた。
しかし、飛雄はその意味がちゃんと脳には入ってこなかった。
それでも、優しくキスをしてくれのだけは、分かった。
及川は、飛雄の丸い真っ黒な頭をそっと撫でて褒めてあげる。
上がりそうない息をグッと堪えて、誤魔化すように下唇を舐める。
ココは、及川の部屋で、ベッドに腰を掛けている。
(良い眺めだね)
景色はまだ明るく、外からは日常の音で溢れているのに、室内は水音と荒い息遣いばかりだ。
甘いような、籠った空気に及川はひっそり笑う。
飛雄は跪いて及川の下肢に顔を埋め、及川自身を口に含んでいる。
「及川さ・・・んぐ」
「止めちゃダメだよ。もう少し続けて」
「はふ・・・ん」
飛雄にフェラをしてもらうのは、そんなに回数は少ない。
いつもは強請って強請って、渋々やってくれるのだが、今回は珍しく自分から
スルと言い出したのだ。
(罪滅ぼしかな)
欲しいと誘ったのは及川だけど、この辺りの展開まで予想してなかった。
ふう・・・と息を吐いて、目の前の身体を眺める。
飛雄は、烏山の学ランのみ脱いで、シャツ姿だった。
「トビオちゃん、腰揺れてない?」
「あっっひゃ・・・!はふ・・・ん」
意地悪するように及川は、無防備な背中にツツツ・・・と指を添わせれば
飛雄は大げさに体を震わせるから、可愛くて楽しい。
及川は、もっともっと意地悪したくなる。
(ねぇ、俺だってお前に触りたいんだよ?)
滅多にない飛雄に求められて、興奮しない方がオカシイ。
早くあのナカに入りたいし、吐き出したい。
でも、この奉仕している飛雄を手放すのも勿体ない。
「ねぇ、一緒にしょうか」
欲張りな自分は、そう飛雄を誘ってフローリングに膝を付く子を強引に引き上げた。
飛雄が、及川を気持ちよくさせてくれるように、自分もしたいのだ。
そしてもっと飛雄を乱してやりたい。
「ん、ゃ、ふひゃんっ!? 」
「飛雄、ダメだよ?続けてよ」
「あ、でも・・・んあっ」
及川は自身がベッドに横になり、自分の上に飛雄を跨らせた。
所謂69の格好だ。
戸惑った飛雄を有無を言わさず、強引にこの体勢にして、パクッと飛雄自身を口に淹れた。
(何もしてないはずなのに、こんなじゃん)
「ねぇ、俺のシテて、興奮してた?」
「ぁ、っひ・・・あぁん」
「ほら、喘いでないで、ちゃんと答えてよ?」
「ちが・・・んふ・・・ぁ」
違わないよ。
アソコが、ダラダラと滴が零れていて、快楽に浸っているのが分かる。
性格は分かりにくいが、体は素直だ。
(俺のモノだよ、トビオちゃん)
誰にも、渡さない。
例えそれが、日向でも。
自分は飛雄とはライバル校に在籍しているが、関係ない。
「ん・・・あ・・・やん、んっ、ふああ・・・」
「飛雄・・・く・・・」
いつの間にか、お互いが夢中になって、舐め合っていた。
飛雄は負けずに及川のモノを口に入れて、ペロペロと舌を使って愛撫をしたし、
及川は、秘所に指を淹れて、舌で自身を絡め取った。
●●●10年後でも、20年後でも 後編●●●
「お、及川さぁ・・・ん!」
ベッドが、ギシギシと揺れている。
目の前では、及川は荒い息をして飛雄の腰を鷲掴みにしている。
バレー中も彼は、男っぽいが、最中はより野生染みている。
(及川さん・・・)
バレー以外で、彼がこんなに夢中になるのは自分だけであれば良い。
他に余所見をしないで、飛雄だけを見ていて欲しい。
なんて、我儘なのは分かっているが、止められない独占欲だ。
「・・・あッ・・・ぁん、や」
「トビオちゃんの声、可愛いなぁ」
「あ、あっあっ」
及川の太くて力強い指が飛雄の顔をそっと撫でる。
この手が、好きだ。
思わずペロリと彼の指を舐めれば、グッと彼の顔が近寄る。
「飛雄?タチが悪いよ?」
「あ・・・あっあっダメえ・・・」
「酷いこと、しちゃうデショ?」
宣言した及川は、飛雄の腰を掴みガシガシと無遠慮に出し入れを繰り返す。
そのたびに、飛雄のナカがキュウキュウと締まって、及川自身をヤラしく噛んでしまう。
はふはふと酸欠になりそうで、飛雄は必死に酸素を取り込んだ。
「トビオちゃんのナカ、最高」
「も、もっと、やさしく・・・んっ・・・あんっ!!」
「でも、コレも嫌いじゃない・・・でしょっ」
「ひやぁぁん!あんっあんっ!! 」
まるで女の子のように甘ったるい声が、喉から引っ切り無しに出てしまう。
自分は、男なのだから、及川だってこんなの嫌だろう。
必死に唇を噛みしめていても、それは及川が飛雄の口内に指を入れて阻んでしまう。
(も・・・やめ・・・)
普段も意地悪だが、ベッドでは及川はもっと酷い。
いや、その時によるのだろうか。
今はまるで、飛雄を追い詰めるように激しく抱いてくる。
「飛雄、飛雄・・・」
「・・・あッ・・・ぁん・・・や」
そんな声で呼ばないで欲しい。
プライドも、意地も何もかも捨てて、及川を求めてしまうから。
欲しくなってしまうから。
(及川さん、及川さん・・・)
「飛雄、好きだよ」
小さく小さく囁かれた。
しかし、飛雄はその意味がちゃんと脳には入ってこなかった。
それでも、優しくキスをしてくれのだけは、分かった。
2012/11/14 21:57:43
及影の小話です。
及影←日向の三つ巴です。
日向は直接登場してませんが、三つ巴です。
前回の続きを書こうと思ったんですが、本誌50号37話に萌えて突発。
WJのネタバレあります。
なんで、小話6は抜かして、小話7としてUPしました。
ブログのカテゴリー「及影」で、まとめて読むことができます。
↓
及影←日向の三つ巴です。
日向は直接登場してませんが、三つ巴です。
前回の続きを書こうと思ったんですが、本誌50号37話に萌えて突発。
WJのネタバレあります。
なんで、小話6は抜かして、小話7としてUPしました。
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「でさ~、トビオちゃん」
飛雄は、及川に呼び出されて、二人でマックに来ていた。
店内は適度に混んでいるが、4人テーブルを確保することができた。
トレイは、二人の注文したバーガーやポテトなど山盛りだったが、パクパクと消化していく。
「聴いてる?」
「聴いてますよ」
及川がハイテンションにベラベラと他愛のない話を続けている。
バレーの話、塾の話、学校の話、エトセトラ・・・
飛雄のそっけない相槌だけで、よく続けられるものだ。
「そうそう、飛雄」
「はい?」
「俺、最近メル友が増えたんだ」
「そうですか・・・」
話が突然変わって、急にメル友なんて、どうしたんだろう。
・・・また、女だろうか。
明るく報告する及川とは反比例に、飛雄の表情は曇った。
(また、及川さんがナンパしたのかな)
しかし実際は、彼は、そんなことはあまりしない。
気軽に声を掛けることはあっても、それより先は踏み込まないきらいがあった。
それでも、メル友=男のイメージが沸かなくて、飛雄は面白くなかった。
「ほら見てよ」
iphoneを弄った及川が、これがそのメールだよと画面を見せて来た。
自慢されちゃったよ。
飛雄は、人のメールを読んでも良いのかと躊躇したが、意外な人物が差出人だった。
「・・・日向?」
「そう。あのちっこい日向くんです」
「及川さん、アイツのメアド知ってるんでか?」
「知らなきゃメールは、来ないよねぇ」
「ま、そうですね・・・」
学校も違って、接点はバレーしかない二人が、メアドを交換してるなんて。
しかし、飛雄のお気楽な気分は一転、慌ててしまった。
あの馬鹿は、どんなメールを送ってるんだ。
『大王様、俺、影山にプロポーズして、了解もらったぜ!!」
・・・はぁ?
何だこれは一体。飛雄は開いた口が塞がらなかったが、ちらりと及川を見上げる。
・・・!!!!
(めちゃくちゃ、怒ってる・・・)
さっきまで、クルクルと表情を変えてベラベラとうっとおしいぐらい喋っていたのに、今は無表情だ。
これが目的なら、逢った直後に問い質せばいいのに。
呼び出しておいて、くだらない話ばかり口にして、肝心の話は最後の最後だ。
「飛雄?これの言い訳は?」
「え?されてませんよ、プロポーズなんて」
「往生際が、悪いね」
俺は、日向くんに直接聞いたんだよ?
10年後でも、20年後でも、ずっと戦い続けるって。
しかも、日本のテッペンでも、世界でもって、お前は確認したってね?
(あ・・・)
それはバレーの話じゃないか。プロポーズとは、全く関係がない。
日向が何年かかっても、飛雄に勝つなんて宣言するから
同じ舞台に立つ気構えがあるのかどうか、確認しただけだ。
「ふうん。でも、そもそも相手は俺デショ?」
「え・・・」
「お前みたいなヤツは、俺が完膚なきままに倒すんだからさ」
俺は烏山との練習試合の後に、伝えたはずだけど?
そうだ。あの時、彼は人を指差しして宣言をしていた。
でも、そこまで拗ねたくても・・・って。
「もしかして、拗ねてるんですか?」
――ピキン。
空気が凍り付いて、飛雄がヤバいと思った瞬間、時すでに遅し。
及川が、ドッカリ!と力いっぱい蹴っ飛ばしてきた。
飛雄の隣の空席を蹴られたが、もし直撃したら足にかなりのダメージが来ただろう。
「生意気だね、飛雄」
蹴り飛ばした音に驚いていれば、及川に胸元を捕まれ引っ張られる。
目の前には、彼の真剣な表情。
狩るような捕獲者の眸で、惹き込まれる。
「お前は、俺だけ意識して、俺とだけ戦っていれば良いんだよ」
勝ち誇ったように及川は笑った。
いつの間にか、自分たちは店内で注目されていたが、全く察せられなかった。
それぐらい目の前の男に、捕らわれていた。
●●●10年後でも、20年後でも●●●
『大王様、俺、影山にプロポーズして了解もらったぜ!!』
なんだ、これは。
ライバル校に在籍する日向からのメールは、滅多にない。
そもそも、メアド交換をしたのも、勢い付いてしたものだったし。
「どうゆうことかな、これは」
『だからー!プロポーズだって!』
「年上に対して、敬う言葉がないね」
『あ~。影山にプロポーズしてOKもらったんスよ』
辛うじて敬語になった日向の説明は、及川にはさっぱり理解できなかった。
彼は、同じ言葉しか言わないし、説明も覚束なかった。
もしかしたら、興奮しているせいなのかもしれない。
「キミじゃ、拉致が明かないからいいや」
『えー』
「じゃ、切るよ」
『あ!・・・』
プツッ
及川は、こんなヤツと長電話してる時間がもったいないと、早々に飛雄を呼び出すことにした。
易々と飛雄を渡す気なんて、及川にはサラサラないのだから。
「トビオちゃんに、ちゃーんと説明してもらわないとね」
こんな文面、速攻消去したいが、飛雄に確認しないうちは消せない。
全く、あれだけ飛雄は自分のモノだと主張しても、あの子はまだ諦める気はないらしい。
バレーも相当粘り強いが、それは恋愛にも通じていて、厄介だ。
*
「お、及川さん」
胸倉を捕まれた飛雄は、キョロキョロと店内に視線を送っている。
及川が、盛大に蹴っ飛ばしたせいで、周囲に注目を浴びているせいだろう。
ふん。誰のせいだと思っているんだ。
「なあに?トビオちゃん」
「えっと・・・スミマセンでした」
「分かって謝っているのかな、それって」
「う・・・」
「だよね」
及川が怒っているのは、辛うじて理解しても原因までは、分かってない飛雄。
だいたい前から思っていたが、飛雄は日向に甘すぎるのだ。
あの手のタイプは、すぐ調子に乗るのだから。
(うーん。トビオちゃんは肌が白いなぁ)
胸倉を掴んで引き寄せたままのため、飛雄のきめ細かい肌が間近で見える。
ちょっとキスでもしたいぐらいだ。
しかし、及川がそんな悠長な想いを寄せているのに対して、飛雄は落ち着かないようで。
「ち、近いです・・・」
「うん。キスできそうだよね」
「及川さん!!」
キスするみたいな距離だったので、ふざけてフウゥとと息を吹きかければ
途端に飛雄は真っ赤になって、捕まれていた胸倉を外して憤慨している。
全くもう、冗談が通じないのだから。
「ねぇ、飛雄」
お前の中心は、あの子じゃないよ。
いつだって、俺のはずだろ?
飛雄の真っ赤な唇を人差し指で撫でて笑う。
(あ・・・可愛い)
及川は何気なく振れたつもりだったけど、飛雄は深い欲の匂いを感じたようで、唇が震えている。
あの唇の甘さと味を知っている及川は、誘惑を抑えるのに苦労した。
誤魔化すように、ペロリと自身の唇を舐めて笑う。
「今から、気持ちイイことしょうか」
「え・・・」
「お前のナカに入りたくなっちゃったよ」
「・・・及川さん・・・」
じわじわと紅くなる頬に手を差し出し、及川は次々と卑猥な言葉を口にする。
狼狽える飛雄を見るのは、最高に楽しい。
気が付けば、及川もだんだんその気になってしまった。
(早く挿れたいね)
「飛雄のナカに出したいよ」
そう臆面もなく誘った。
飛雄は、及川に呼び出されて、二人でマックに来ていた。
店内は適度に混んでいるが、4人テーブルを確保することができた。
トレイは、二人の注文したバーガーやポテトなど山盛りだったが、パクパクと消化していく。
「聴いてる?」
「聴いてますよ」
及川がハイテンションにベラベラと他愛のない話を続けている。
バレーの話、塾の話、学校の話、エトセトラ・・・
飛雄のそっけない相槌だけで、よく続けられるものだ。
「そうそう、飛雄」
「はい?」
「俺、最近メル友が増えたんだ」
「そうですか・・・」
話が突然変わって、急にメル友なんて、どうしたんだろう。
・・・また、女だろうか。
明るく報告する及川とは反比例に、飛雄の表情は曇った。
(また、及川さんがナンパしたのかな)
しかし実際は、彼は、そんなことはあまりしない。
気軽に声を掛けることはあっても、それより先は踏み込まないきらいがあった。
それでも、メル友=男のイメージが沸かなくて、飛雄は面白くなかった。
「ほら見てよ」
iphoneを弄った及川が、これがそのメールだよと画面を見せて来た。
自慢されちゃったよ。
飛雄は、人のメールを読んでも良いのかと躊躇したが、意外な人物が差出人だった。
「・・・日向?」
「そう。あのちっこい日向くんです」
「及川さん、アイツのメアド知ってるんでか?」
「知らなきゃメールは、来ないよねぇ」
「ま、そうですね・・・」
学校も違って、接点はバレーしかない二人が、メアドを交換してるなんて。
しかし、飛雄のお気楽な気分は一転、慌ててしまった。
あの馬鹿は、どんなメールを送ってるんだ。
『大王様、俺、影山にプロポーズして、了解もらったぜ!!」
・・・はぁ?
何だこれは一体。飛雄は開いた口が塞がらなかったが、ちらりと及川を見上げる。
・・・!!!!
(めちゃくちゃ、怒ってる・・・)
さっきまで、クルクルと表情を変えてベラベラとうっとおしいぐらい喋っていたのに、今は無表情だ。
これが目的なら、逢った直後に問い質せばいいのに。
呼び出しておいて、くだらない話ばかり口にして、肝心の話は最後の最後だ。
「飛雄?これの言い訳は?」
「え?されてませんよ、プロポーズなんて」
「往生際が、悪いね」
俺は、日向くんに直接聞いたんだよ?
10年後でも、20年後でも、ずっと戦い続けるって。
しかも、日本のテッペンでも、世界でもって、お前は確認したってね?
(あ・・・)
それはバレーの話じゃないか。プロポーズとは、全く関係がない。
日向が何年かかっても、飛雄に勝つなんて宣言するから
同じ舞台に立つ気構えがあるのかどうか、確認しただけだ。
「ふうん。でも、そもそも相手は俺デショ?」
「え・・・」
「お前みたいなヤツは、俺が完膚なきままに倒すんだからさ」
俺は烏山との練習試合の後に、伝えたはずだけど?
そうだ。あの時、彼は人を指差しして宣言をしていた。
でも、そこまで拗ねたくても・・・って。
「もしかして、拗ねてるんですか?」
――ピキン。
空気が凍り付いて、飛雄がヤバいと思った瞬間、時すでに遅し。
及川が、ドッカリ!と力いっぱい蹴っ飛ばしてきた。
飛雄の隣の空席を蹴られたが、もし直撃したら足にかなりのダメージが来ただろう。
「生意気だね、飛雄」
蹴り飛ばした音に驚いていれば、及川に胸元を捕まれ引っ張られる。
目の前には、彼の真剣な表情。
狩るような捕獲者の眸で、惹き込まれる。
「お前は、俺だけ意識して、俺とだけ戦っていれば良いんだよ」
勝ち誇ったように及川は笑った。
いつの間にか、自分たちは店内で注目されていたが、全く察せられなかった。
それぐらい目の前の男に、捕らわれていた。
●●●10年後でも、20年後でも●●●
『大王様、俺、影山にプロポーズして了解もらったぜ!!』
なんだ、これは。
ライバル校に在籍する日向からのメールは、滅多にない。
そもそも、メアド交換をしたのも、勢い付いてしたものだったし。
「どうゆうことかな、これは」
『だからー!プロポーズだって!』
「年上に対して、敬う言葉がないね」
『あ~。影山にプロポーズしてOKもらったんスよ』
辛うじて敬語になった日向の説明は、及川にはさっぱり理解できなかった。
彼は、同じ言葉しか言わないし、説明も覚束なかった。
もしかしたら、興奮しているせいなのかもしれない。
「キミじゃ、拉致が明かないからいいや」
『えー』
「じゃ、切るよ」
『あ!・・・』
プツッ
及川は、こんなヤツと長電話してる時間がもったいないと、早々に飛雄を呼び出すことにした。
易々と飛雄を渡す気なんて、及川にはサラサラないのだから。
「トビオちゃんに、ちゃーんと説明してもらわないとね」
こんな文面、速攻消去したいが、飛雄に確認しないうちは消せない。
全く、あれだけ飛雄は自分のモノだと主張しても、あの子はまだ諦める気はないらしい。
バレーも相当粘り強いが、それは恋愛にも通じていて、厄介だ。
*
「お、及川さん」
胸倉を捕まれた飛雄は、キョロキョロと店内に視線を送っている。
及川が、盛大に蹴っ飛ばしたせいで、周囲に注目を浴びているせいだろう。
ふん。誰のせいだと思っているんだ。
「なあに?トビオちゃん」
「えっと・・・スミマセンでした」
「分かって謝っているのかな、それって」
「う・・・」
「だよね」
及川が怒っているのは、辛うじて理解しても原因までは、分かってない飛雄。
だいたい前から思っていたが、飛雄は日向に甘すぎるのだ。
あの手のタイプは、すぐ調子に乗るのだから。
(うーん。トビオちゃんは肌が白いなぁ)
胸倉を掴んで引き寄せたままのため、飛雄のきめ細かい肌が間近で見える。
ちょっとキスでもしたいぐらいだ。
しかし、及川がそんな悠長な想いを寄せているのに対して、飛雄は落ち着かないようで。
「ち、近いです・・・」
「うん。キスできそうだよね」
「及川さん!!」
キスするみたいな距離だったので、ふざけてフウゥとと息を吹きかければ
途端に飛雄は真っ赤になって、捕まれていた胸倉を外して憤慨している。
全くもう、冗談が通じないのだから。
「ねぇ、飛雄」
お前の中心は、あの子じゃないよ。
いつだって、俺のはずだろ?
飛雄の真っ赤な唇を人差し指で撫でて笑う。
(あ・・・可愛い)
及川は何気なく振れたつもりだったけど、飛雄は深い欲の匂いを感じたようで、唇が震えている。
あの唇の甘さと味を知っている及川は、誘惑を抑えるのに苦労した。
誤魔化すように、ペロリと自身の唇を舐めて笑う。
「今から、気持ちイイことしょうか」
「え・・・」
「お前のナカに入りたくなっちゃったよ」
「・・・及川さん・・・」
じわじわと紅くなる頬に手を差し出し、及川は次々と卑猥な言葉を口にする。
狼狽える飛雄を見るのは、最高に楽しい。
気が付けば、及川もだんだんその気になってしまった。
(早く挿れたいね)
「飛雄のナカに出したいよ」
そう臆面もなく誘った。
2012/10/19 22:14:31
及影の小話です。
及影←日向の三つ巴です。
日影のキスシーンあり。
ちょっと、無理やりキスしてます。
前回の続きです。
ブログのカテゴリー「及影」で、まとめて読むことができます。
↓
及影←日向の三つ巴です。
日影のキスシーンあり。
ちょっと、無理やりキスしてます。
前回の続きです。
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↓
『日向・・・?!』
携帯の向こうから聴こえた飛雄の焦る声と、耳障りガッシャンと何かが落ちる音。
その後、携帯は、ツーツーツーと無音になってしまった。
チッと及川は、盛大に舌打ちをする。
(あの小さい子だろうか)
及川を相手に、ライバル宣言したムカつくガキ。
やっと飛雄が及川の気持ちを信じてくれて、恋人同士になれたのに邪魔をしてくる少年だ。
絶対に渡す気はないけれど、目障りなのは変わらない。
「お、おい!及川?どこに行くんだよ」
気が付けば、階段を駆け足で降りて、下駄箱まで来ていた。
昼休みのグランドで、サッカーをしていた岩田に驚いたように呼ばれる。
及川の焦る気持ちを察してない彼は、もう昼休みも終わるぞと暢気に笑っていた。
「・・・・・・岩ちゃん、何してたの?」
「サッカーだよ、サッカー」
「そんなのしてたら、午後は眠くなっちゃうよ?」
「うっ、うっせーよ」
思わぬチームメイトの登場で、及川の気持ちが幾分冷えてきた。
そうだ。今、烏野に向かっても、あっちだって授業が始まってしまう。
及川って、午後から小テストがあったはずだ。
(同じ高校じゃないと、こうゆう時は不便だな)
普段は、ライバル校の飛雄を倒す気満々で、叩き潰したくてウズウズしているのに。
近いようで遠い距離が、もどかしい。
及川は、岩田の小言にハイハイとお座なりに返事をして、飛雄の携帯に掛け直す。
『お掛けになった電話は・・・』
電源が、切られている。
故意に切ったのか。それとも、偶然か。
どちらにしても、休み時時間は終わってしまう。
(せっかく飛雄の声が、聴けたのに・・・)
年下の恋人と電話をする機会は、多いようで少ない。
学校は別でも、元は学区内が同じだったので、家は近所だ。
だから、逢いたいと思えば、電話よりも逢った方が早かったし、逢いたかった。
『たまには、飛雄からも電話してよー』
『で、電話?!』
そう強請ったのは、自分だった。
つれない恋人は、及川がバレー部の主将だったり、受験生なのを理由に
変に遠慮して、飛雄から行動することが少なかった。
(それでも、トビオちゃんは俺にラブラブだけどね!!)
飛雄が聴けば、顔を真っ赤にして怒りそうなことを思いつつ、及川は電話してよと強請った。
そして、わざと学校がある平日の日中を要求したのも、自分だった。。
飛雄の日常に、わざと自分を食い込ませたかったのだ。
『でも、そんな昼休みになんて・・・』
『もちろん毎日しろなんて言わないよ。たま~にで良いんだよ』
『わ、分かりました』
有無を言わさない及川の希望に、飛雄は首を傾げつつ頷いてくれた。
大方、また突拍子もないことを言い出したと呆れているのだろう。
けれど、それでも良い。飛雄が及川に電話をしてくれれば、なんでも、
(俺も、結構必死なんだよ?トビオちゃん)
飛雄はきっと、及川にいつも振り回されているのは自分だと悔しがっているだろう。
しかし、実際はどうだろう。
及川だって、飛雄の見えない部分、気付かれてない所で、足掻いているのだ。
「そうじゃなくても、ライバルが多いんだからさ」
ぼそりと不満げに呟く。
及川がモテモテで、浮気性だと勘違いしている飛雄に悪いが、飛雄の方がタチが悪い。
キャーキャーアイドル扱いで騒がれてるのとは違って、あの子は本気の輩が多いのだから。
「及川?ライバルってないんだよ?」
「べっつにー。何でもないよ、岩ちゃん」
「ほら、急ぐぞ」
もうチャイムが鳴ったんだからな。
岩田に急かされ、及川は教室に戻った。
早く放課後になれば良いと願いながら、席に座った。
●●●● あきらめない心 2 ●●●●
「渡さなさい・・・」
及川と携帯で電話をしていたら、日向が現れた。
夢中で彼と話してしまったらしい、彼の気配に全く気付かなかった。
飛雄は、思わず驚いて携帯を落してしまって、ガッシャン!と嫌な音が響いた。
「おい、日向?!」
「俺だって、お前が欲しいんだ・・・」
携帯を拾った腕を掴まれて、強引に唇を奪われる。
日向の唇は、及川のそれとは違って、少しカサカサしていた。
条件反射に肩を押し退けても、日向は思った以上に力が強く、離れた唇が再び重なる。
(及川さん・・・!)
別に、彼に操を立てるつもりはない。
それでも、俺たちやっと恋人になれたねと笑う彼を傷つけたくなかった。
そして、彼以外とキスしたくなかった。
「離せっ・・・」
「好きなんだよ。後から俺が好きになっても、関係ない!」
「・・・日向」
見っともなくジタバタと暴れる飛雄をベンチに抑え付けて、小柄な日向が馬乗りになる。
ギュウギュウ抱き締められて、必死にしがみ付かれる。
唇を奪われて、口内の舌を荒らされて、舌を絡め取られる。
(なんで、俺なんだよ!)
飛雄は、さっぱり理解できなかった。
別に好かれるようなことはしてない、バレー以外で日向とは接点もなかった。
なぜ、自分はそこまで固執されるのだろうか。
疑問だけが飛雄の頭を駆け巡り、こんな行動を起こすチームメイトにも嫌悪しか抱けない。
「俺だって、好きなんだよ!」
もみ合っている隙に飛雄は、ベンチに押し倒されて、小柄な彼が覆い被さってくる。
真っすぐ射抜く日向の眸が、まるでスパイクを決める瞬間のように、ギラギラしている。
その眸に、魅入ってしまう。だって、まるでバレーを追いかけるような眸だったから。
「痛・・・」
「影山、影山・・・」
また、キスされる。
イヤダ、イヤダ・・・。
日向の手が、飛雄のシャツの中に入り込み、胸を触われる。
(ふざけんな・・・)
これ以上、好き勝手は許さない。
飛雄は、日向の鳩尾に膝蹴りをして、バランスを崩す彼から抜け出した。
手加減なしの力は、日向にそうとうなダメージを与えたようだ。
「痛・・・つう・・・」
「ふざけんな!こんなのするな!!!」
「影山~~」
はぁはぁと肩で息をした飛雄は、睨み付けてバシッと日向の頭を叩く。
先ほどの飛雄を抑え付けていた鋭い眼差しの日向はいなかった。
地面に胡坐をかいた彼は、ひでーとブツブツ呟いている。
(どっちがだよ!)
しかし、ヌメッとした嫌な空気が消え去り、いつもの日向に戻っている気がする。
それだけが、飛雄をホッとさせた。
時計を観れば、もう授業が始まっている。教室に、戻らなければならない。
少し砂埃を被った携帯を掴み、ポケットにしまう。
(もう及川さんに、電話できないな)
あちらも、授業中だろう。
切れてしまった電源を入れて、マナーモードにする。
背後では、パンパンと埃を叩く日向がいるが、飛雄の意識は傍にいない及川に向かっていた。
「俺、行くからな」
「待ってよ!俺も・・・」
「誰が、一緒に行くか」
「む・・・」
当分、話しかけて来るな。
そう呟いて、飛雄は足早に立ち去った。
及川さん、及川さん・・・何度も何度も、彼の名前をつぶやいた。
次回に続きます。
携帯の向こうから聴こえた飛雄の焦る声と、耳障りガッシャンと何かが落ちる音。
その後、携帯は、ツーツーツーと無音になってしまった。
チッと及川は、盛大に舌打ちをする。
(あの小さい子だろうか)
及川を相手に、ライバル宣言したムカつくガキ。
やっと飛雄が及川の気持ちを信じてくれて、恋人同士になれたのに邪魔をしてくる少年だ。
絶対に渡す気はないけれど、目障りなのは変わらない。
「お、おい!及川?どこに行くんだよ」
気が付けば、階段を駆け足で降りて、下駄箱まで来ていた。
昼休みのグランドで、サッカーをしていた岩田に驚いたように呼ばれる。
及川の焦る気持ちを察してない彼は、もう昼休みも終わるぞと暢気に笑っていた。
「・・・・・・岩ちゃん、何してたの?」
「サッカーだよ、サッカー」
「そんなのしてたら、午後は眠くなっちゃうよ?」
「うっ、うっせーよ」
思わぬチームメイトの登場で、及川の気持ちが幾分冷えてきた。
そうだ。今、烏野に向かっても、あっちだって授業が始まってしまう。
及川って、午後から小テストがあったはずだ。
(同じ高校じゃないと、こうゆう時は不便だな)
普段は、ライバル校の飛雄を倒す気満々で、叩き潰したくてウズウズしているのに。
近いようで遠い距離が、もどかしい。
及川は、岩田の小言にハイハイとお座なりに返事をして、飛雄の携帯に掛け直す。
『お掛けになった電話は・・・』
電源が、切られている。
故意に切ったのか。それとも、偶然か。
どちらにしても、休み時時間は終わってしまう。
(せっかく飛雄の声が、聴けたのに・・・)
年下の恋人と電話をする機会は、多いようで少ない。
学校は別でも、元は学区内が同じだったので、家は近所だ。
だから、逢いたいと思えば、電話よりも逢った方が早かったし、逢いたかった。
『たまには、飛雄からも電話してよー』
『で、電話?!』
そう強請ったのは、自分だった。
つれない恋人は、及川がバレー部の主将だったり、受験生なのを理由に
変に遠慮して、飛雄から行動することが少なかった。
(それでも、トビオちゃんは俺にラブラブだけどね!!)
飛雄が聴けば、顔を真っ赤にして怒りそうなことを思いつつ、及川は電話してよと強請った。
そして、わざと学校がある平日の日中を要求したのも、自分だった。。
飛雄の日常に、わざと自分を食い込ませたかったのだ。
『でも、そんな昼休みになんて・・・』
『もちろん毎日しろなんて言わないよ。たま~にで良いんだよ』
『わ、分かりました』
有無を言わさない及川の希望に、飛雄は首を傾げつつ頷いてくれた。
大方、また突拍子もないことを言い出したと呆れているのだろう。
けれど、それでも良い。飛雄が及川に電話をしてくれれば、なんでも、
(俺も、結構必死なんだよ?トビオちゃん)
飛雄はきっと、及川にいつも振り回されているのは自分だと悔しがっているだろう。
しかし、実際はどうだろう。
及川だって、飛雄の見えない部分、気付かれてない所で、足掻いているのだ。
「そうじゃなくても、ライバルが多いんだからさ」
ぼそりと不満げに呟く。
及川がモテモテで、浮気性だと勘違いしている飛雄に悪いが、飛雄の方がタチが悪い。
キャーキャーアイドル扱いで騒がれてるのとは違って、あの子は本気の輩が多いのだから。
「及川?ライバルってないんだよ?」
「べっつにー。何でもないよ、岩ちゃん」
「ほら、急ぐぞ」
もうチャイムが鳴ったんだからな。
岩田に急かされ、及川は教室に戻った。
早く放課後になれば良いと願いながら、席に座った。
●●●● あきらめない心 2 ●●●●
「渡さなさい・・・」
及川と携帯で電話をしていたら、日向が現れた。
夢中で彼と話してしまったらしい、彼の気配に全く気付かなかった。
飛雄は、思わず驚いて携帯を落してしまって、ガッシャン!と嫌な音が響いた。
「おい、日向?!」
「俺だって、お前が欲しいんだ・・・」
携帯を拾った腕を掴まれて、強引に唇を奪われる。
日向の唇は、及川のそれとは違って、少しカサカサしていた。
条件反射に肩を押し退けても、日向は思った以上に力が強く、離れた唇が再び重なる。
(及川さん・・・!)
別に、彼に操を立てるつもりはない。
それでも、俺たちやっと恋人になれたねと笑う彼を傷つけたくなかった。
そして、彼以外とキスしたくなかった。
「離せっ・・・」
「好きなんだよ。後から俺が好きになっても、関係ない!」
「・・・日向」
見っともなくジタバタと暴れる飛雄をベンチに抑え付けて、小柄な日向が馬乗りになる。
ギュウギュウ抱き締められて、必死にしがみ付かれる。
唇を奪われて、口内の舌を荒らされて、舌を絡め取られる。
(なんで、俺なんだよ!)
飛雄は、さっぱり理解できなかった。
別に好かれるようなことはしてない、バレー以外で日向とは接点もなかった。
なぜ、自分はそこまで固執されるのだろうか。
疑問だけが飛雄の頭を駆け巡り、こんな行動を起こすチームメイトにも嫌悪しか抱けない。
「俺だって、好きなんだよ!」
もみ合っている隙に飛雄は、ベンチに押し倒されて、小柄な彼が覆い被さってくる。
真っすぐ射抜く日向の眸が、まるでスパイクを決める瞬間のように、ギラギラしている。
その眸に、魅入ってしまう。だって、まるでバレーを追いかけるような眸だったから。
「痛・・・」
「影山、影山・・・」
また、キスされる。
イヤダ、イヤダ・・・。
日向の手が、飛雄のシャツの中に入り込み、胸を触われる。
(ふざけんな・・・)
これ以上、好き勝手は許さない。
飛雄は、日向の鳩尾に膝蹴りをして、バランスを崩す彼から抜け出した。
手加減なしの力は、日向にそうとうなダメージを与えたようだ。
「痛・・・つう・・・」
「ふざけんな!こんなのするな!!!」
「影山~~」
はぁはぁと肩で息をした飛雄は、睨み付けてバシッと日向の頭を叩く。
先ほどの飛雄を抑え付けていた鋭い眼差しの日向はいなかった。
地面に胡坐をかいた彼は、ひでーとブツブツ呟いている。
(どっちがだよ!)
しかし、ヌメッとした嫌な空気が消え去り、いつもの日向に戻っている気がする。
それだけが、飛雄をホッとさせた。
時計を観れば、もう授業が始まっている。教室に、戻らなければならない。
少し砂埃を被った携帯を掴み、ポケットにしまう。
(もう及川さんに、電話できないな)
あちらも、授業中だろう。
切れてしまった電源を入れて、マナーモードにする。
背後では、パンパンと埃を叩く日向がいるが、飛雄の意識は傍にいない及川に向かっていた。
「俺、行くからな」
「待ってよ!俺も・・・」
「誰が、一緒に行くか」
「む・・・」
当分、話しかけて来るな。
そう呟いて、飛雄は足早に立ち去った。
及川さん、及川さん・・・何度も何度も、彼の名前をつぶやいた。
次回に続きます。